雪渓を登って 針ノ木峠へ |
針ノ木雪渓 |
●場 所 | 長野県茅野市 | |||||
●標高 | 蓮華岳 2799m(途中で引き返し) 針ノ木峠 2536m |
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●山行日 | 1987年7月30日〜8月1日 | ||||||
●多治見から 登山口まで |
JR多治見駅ーJR信濃大町駅=タクシーで扇沢へ ※ー鉄道 =自動車 ・・・徒歩 ⇒バス ⇔その他 |
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●参加者 | 早川、林、丹羽 | ||||||
●コースタイム | 1日目 7月30日
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特急「しなの1号」に乗車。4名と合流して信濃大町へ。我々3人は、針ノ木岳へ。2人は劔へ。 「5人ならバスより安いよ。」と勧められ、タクシーで扇沢へ。995円。 劔へ行く2人と分かれ、駅から左手の細い道へ入る。
他の登山者無し。静かなもの。 あえぎあえぎ登っていくと!!アスファルト道へ出た。 ダム関係の車のみ通る道らしい。 それを横切ってまたあえぎあえぎ登ると!!またアスファルト道。これを繰り返すこと3〜4回。 トンネルの入り口近くに「針ノ木岳遊歩道入口」の看板。 荷物が重い。
空は薄雲が出ているが、まあまあの天気。 日陰では頭に風を入れ、日向では帽子を被り・・・と歩く。 ソバナ・タマガワホトトギス・オタカラコウ・ウバユリ・シシウド・トンボソウ・ マイヅルソウ(実)・ハリブキ(実)などを見ながら歩く。 一つ目の沢を渡る頃から針ノ木雪渓が遠くに見え始めた。 二つ目の沢を渡り、湧き水の所で休憩。 クロクモソウ・ヤグルマソウ・ズダヤクシュ・カニコウモリなど花が多くなってきた。 3つ目の沢を渡ったらあっけなく大沢小屋が見えた。12:45着。 「宿泊お願いします。」と会計の手続き。 ついでにビールも貰って乾杯。 リーダーの体調がよくないので、針ノ木小屋へも行けそうな時間だが、 ゆとりを持って大沢小屋泊まりとした。
台風7号が接近しているので万一沈殿してもいいように本を3冊持ってきているとリーダー。 これだけで約1キロだわと笑っている。 昼食後辺りを散歩しようと出かけたが、雪渓から流れ出る水とそこを吹き抜ける 冷凍庫を開けたような冷気にゾクゾクして早々に小屋に戻る。 5:30の夕食まで昼寝しようということになり、横になっているうちに本当に眠ってしまった。 4時から気象通報があるので、「丹羽さん。お勉強の時間ですよ。」と起こされ 天気図を書き込む用紙を貰い下へ降りる。 谷間のせいかうまく受信できず、私は見習いで2人の見学。 台風は東へ少し移動するようだが、日本海に低気圧があるので、 どうもグズグズした天気になるらしいと判断。 夕食のカレーを食べるとやることがない。 この小屋は電気無し。ろうそくのみ。 歯を磨いて(雪渓から引いてあるので水だけは豊富) 就寝、19:00。.
4:30起床。パンとコーヒーで朝食を済ませ、5:20発。 夜中雨が降ったようだが、今は曇り空。 ニッコウキスゲ・ヤマハハコ・タテヤマウツボグサ・コメツツジ・オオバノヨツバムグラ・ クルマユリ・ミソガワソウ・テガタチドリ・ミヤマカラマツ・シモツケソウ・シシウド・ エゾシオガマ・クガイソウ・ミヤマクワガタ・オオバミゾホオズキ・マルバダケブキなど、 雪渓近くは花が多い。 カザグルマ ミソガワソウ タテヤマウツボグサ テガタチドリ 雪渓入り口で休憩。6:05〜6:10。 後ろの山は、ガスで隠れたりぱっと見えてきたリで、目まぐるしい。
雪渓上に赤い粉で進路が示してある。 1歩足を置く。締まった雪の感じ。 岩が大きいのから小さいのまでゴロゴロ落ちているし、 木の幹も小枝も葉っぱも落ちているし、雪は波打つように、 ちょうどスプーンですくったように凸凹しているし、遠くから見たほどきれいではない。 2人は、12本爪の冬用アイゼンを持ってきているので早速着用。私はなし。 手ごろな棒を杖にして後からついていく。
リーダートサブリーダーは、直登。 ところがこちらはそれができない。 スプーンで削り取ったような凹んだところを選んで足を置くが、 いつも、うまくいくとは限らない。油断するとツルッと滑る。 仕方がないので、ジグザグに登る。 間がどんどん離れる。 雨がポツリポツリ。雨具着用。 2人は、アイゼンをいったん外して、雨具のズボンを穿いて、またアイゼンを着けてと面倒。
登りが急になるとキックステップで雪を蹴込むが、雪が固くて効果なし。 焦る。間が空く。 そのうち名商大ワンゲル部員たちの足跡を見つけたので、そこをたどる。 10人ばかりが同じ位置に足を置いて行くから階段状になっていて大変歩きやすい。 1歩1歩間が狭まる。 「ノド」と呼ばれている一番狭い所で休憩。7:10〜7:20。
左側の雪渓は、所々にポッカリ穴が開き、ゴウゴウと水の流れる音。 今歩いてきた雪渓の下もあの急流があるわけ。 1m下か、2m下か、それとも50cm下か分からないが、落ちたら確実に死が待っている。
穴を避け、右側の岩ゴロゴロへ上がる。 もう一度雪渓を渡って少し行けば左側の岸に上がることになる。 2人は、あと少しだからとアイゼンを付けなかったら、私はもう慣れて平気な所を 「こわいこわい」と言っている。 7:26、雪渓を出る。 ここからは高山礫地帯と高山草原が入り組んでいる。 チングルマ・ヒメイワショウブ・ミヤマダイコンソウ・コイワカガミ・アオノツガザクラ・ ヒョウタンボク・ベニバナイチゴ・キヌガサソウ・ミヤマダイモンジソウ・オンタデ・ ミヤマアキノキリンソウ・キバナノコマノツメ・ミヤマキンポウゲなど。
雪渓は右側にまだまだ続いているが、今頃はもう歩けないよう。 土砂降りになってきた。 名商大は大きな岩の下に避難。 我々は前進。 雨は小雨になったり本降りになったりで、フードを被ったり外したり。 谷を渡って、今度は左に雪渓。 花も草もないガレ場を少し行くと、もう見えた!針ノ木小屋。 タカネヤハズハハコを見て小屋着。8:55。
ずぶ濡れ。 会計の役目。「宿泊お願いします。」 水1リットルまでは無料とのこと。 とにかく濡れた雨具・帽子・服などを乾燥室のロープに掛け、がら空きの部屋へ入る。 今日の予定の蓮華岳登頂をどうしようかと相談。 10:00まで待って判断。それまでまた昼寝。 10:00になっても雨はじゃんじゃん降り。風はぴゅーぴゅー。 11:00まで待とうということになり、また眠りの世界へ。 11:00になっても外はさっきと同じ状態。
「私はパス」というサブリーダーを置いて、リーダーと一緒に11:30発。 濡れた雨具を着こみ、濡れた靴を履いて、水筒と食料だけを持って傘をさして歩きだす。 ウメバチソウ・ゴゼンタチバナ・ハクサンシャクナゲ・ウサギギク・ヨツバシオガマ・ コケモモ・チシマギキョウ・イワオトギリなどがハイマツ地帯に咲いている。 稜線へ出ると風が一段と強くなった。もちろん傘はさせない。 岩で囲んであるコマクサがあちこちに。タカネスミレも。 1時間で頂上へ行けるはずだし、ガスの切れ間から蓮華岳山頂もすぐそばに見えるが、 立ってはおられないくらいの強風のため引き返すことに決定。 12:05、下山開始。
稜線から外れたら風もまあまあ。12:25小屋着。 雨は相変わらず。軽登山靴の中でグチュグチュと水の音。 出かけている間に泊り客が増え、最終的に満員になってしまった。 ビールで乾杯。昼食にする。 リーダーは読書。私は昼寝。 16:00の気象通報を聞いて天気図作りの実習。 『日本海の低気圧から寒冷前線と停滞前線が両側に張り出した図』が 出来上がった。望みなし。 17:40、夕食。 明日は下山になりそうで、食後、サブリーダーが持ち上げたウィスキーを 全部飲んでしまうことにした。 1日停滞していた犬のファミリーとおつまみ交換をして、しばらくだべっていた。 そしてテレビの天気予報を見てまたガックリして寝る。
4:00起床予定だったが、雨と風。早く起きても仕方ない。下山あるのみ。 6:00起床となった。 ところがもう寝すぎて眠れない。 5:00の天気予報を念のため聞く。前線は南下。あ〜あ。 寝すぎて腰が痛い。仕方なく起きる。 炊事小屋で豪華朝食。 何しろ明日がないわけだから、全部食べてしまおうということ。
アイゼンなしでは雪渓を降りられないので、4本爪軽アイゼンを購入して、6:40出発。 7:20雪渓入り口。 なるほど簡単にアイゼンが着けられる。 やっぱり道具は便利。普通の道と同じようにスタスタ歩けてしまう。 あっという間に雪渓終了。 7:55.湧水の所で歯磨き・洗面。 9:32、遊歩道入り口。 9:52、扇沢着。 着替えをして相乗りの5人でタクシー乗車。10:22。 信濃大町発11:26乗車。 付いていない山行だった。 |