高瀬ダム〜ニセ烏帽子〜三ツ岳〜野口五郎岳〜水晶小屋〜 三俣蓮華岳〜双六岳〜鏡平小屋〜新穂高温泉 裏銀座縦走 |
雪田から「槍」を望む 双六岳山頂 チングルマ ミヤマシオガマ |
●場 所 | 長野県・富山県・岐阜県 | |||||||||
●標高 | ニセ烏帽子岳2605m 三ツ岳2845m 野口五郎岳2924m 三俣蓮華岳2841.2m 双六岳2860.3m 弓折岳2588m |
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●山行日 | 1991年7月27日〜7月29日 | ||||||||||
●コース | 高倉ダム〜烏帽子小屋〜ニセ烏帽子岳往復〜三ツ岳〜野口五郎岳〜東沢乗越〜水晶小屋〜岩苔乗越〜三俣山荘〜三俣蓮華岳〜双六岳〜双六小屋〜弓折岳〜鏡平小屋〜ワサビ平小屋〜新穂高温泉 | ||||||||||
●多治見から 登山口まで |
JR多治見駅ーJR信濃大町駅⇒バスで七倉=タクシーで高瀬ダム(登山口) ※ー鉄道 =自動車 ・・・徒歩 ⇒バス ⇔その他 |
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●参加者 | 林、丹羽 | ||||||||||
●コースタイム | 1日目 7月27日(月)
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多治見で0:24に乗車。急行「ちくま」は、満席。 こんなことなら、名古屋まで 出ればよかったと思ったが、千種から乗った同行者でも運よく座れたと言っているのだから、仕方ないか。 通路が開いていたのでマットを敷き、座る。 多治見駅のオジさんに貰ったビールを半分ずつ飲みウトウトする。 松本で乗換え、信濃大町へ。 バスもあるが、4人ならタクシーでもほとんど同じ・・・ということで、秋田からの2人組と相乗りをする。 彼等とは三俣山荘まで一緒。 高瀬ダムのトンネルが6:30まで開かないからということで、待合室で朝食とする。 七倉で6:30になるのを準備体操などしながら待つ。 良く整備されたトンネルの多い道を、歩いていく若者達を尻目に、楽々とダムのてっぺんまで運んでもらう。 6:45発。 ダムの上は、風の通り道でびゅうびゅうと吹かれたが、不動沢トンネルの中を通り、 長い長い不動沢吊橋を渡り、向こう側へ付いたら風がなくなり暑い暑い。で、1枚脱ぐ。 足元の危ない濁沢吊橋を渡ったところには、どう どうと流れる水場。ソバナ。 ここから、いよいよブナ立尾根。北アルプス三大急登の一つ。6時間10分の登り。 ちょうど、「燕岳」への登りのような道。 「ゆっくり行こうね。」と声を掛け合い、花を見ながら、ぐいぐい登って行く。 ブナ立尾根の途中で ミヤマママコナ、タマガワホトトギス、エソノヨツバムグラ、ツバメオモトの青い実、オククルマムグラ、タケシマランの赤い実、カニコウモリ、ズダヤクシュ、セン ジュガンピ、マイヅルソウの茶色の実(登っていくと花、蕾になっていった)など。 三角点2209mで、同行者、胃痛、吐き気。 メタカラコウ、マルバグケプキ、グンナイフウロ、カラマツソウ、クモキリソウ、ミミコウモリ(茎が黒く、ぎくしゃくしている)、カニコウモリ(茎が緑色)、ヤグルマソウ、アカバナなど。ゴゼンタチバナ、アカモノ、ツマトリソウ、コイワカガミ、クロツリバナ、ミツバオウレン、ネバリノギラン、イワナシの実など。 長野と富山の県境稜線に出ると、視界がばあ〜っと開き、雪渓の残る山々や、先ほど渡って来たダムもずう〜っと下に見える。 もうすぐ稜線 足元に高瀬ダム そしてお花畑。アオノツガザクラ、ミヤマキンポウゲ。ミヤマキンバイなど。 下ったすぐの所に烏帽子小屋、12:15到着。5時間半。思ったより早い。小屋の前に、イワギキョウの群生。植えてあるよう。 アオノツガザクラ 前には、明日行く野口五郎岳へ続く裏銀座がばっちりみえる。 宿泊手続きをしてからまずは乾杯! ここは、水が貴重品。1リットルが100円。 いい気持ちになったところで、烏帽子岳まで散歩にでかける。13:00発 雪渓のある谷の道を選び降りていくと、ここもお花畑! ビールの余韻も残り、幸せ〜 タカネウスユキソウ(別名タカネヤハズハハコ)の薄ピンクがいい。 小さな小さなコマクサもあり、小屋番さんが植えたのでは?と思ってしまった。 ザレ場、ガレ場を登っていくと、うっすらと赤いペンキで「頂上」と書いてある。 登頂し たと思っていたが、実はこれは「ニセ烏帽子」だと後から判明。 本物は少し先の岩ガレガレのとんがった山。 「三点確保で行きました」とベアのパーティーの一言で「やめとこう」ということになったが、またどじってしまった。 雪渓まで降りてみるが、水はきれいとは言い難い。 池に雪が浮かんでいて溶けない のが不思議。 のんびりと散歩を楽しんでから帰る。15:25小屋着。 夕食までコーヒータイムをとったり、天気図を書いたりして過ごす。 食後、なかなか沈まない太陽と根比べをして無為に過ごす。 暗くなったところで就寝。
4:30起床、5:15朝食、5:55発。 風が強いので、ヤッケを着て、靴下をロングに替える。 キャンプ場の真ん中を通り、ひょうたん池に出ると、白いサンカヨウの花。初見。 池があってもキャンパーたちは水を小屋で買わなければならない。 大変な出費だと 他人事ながら気を遣う。 稜線に出ると確かに風は強いが、歩いているぷんには暑いほど。ヤッケを脱ぐ。 周りは砂礫の斜面。そこここにコマクサの小さな小さな株が点在している。 小さく ても花をちゃんとつけているのが健気。 コマクサ 前方には、これから登って行く三ツ岳。横からの朝日を受けて我々の姿か砂礫の谷間に映る。 イワギキョウのつぼみがいっぱい。上を向いてつんととんがっている。 白っぽいザレに足を取られながらジグザグに登る。と、「槍」がみえた! あんな遠 い所まで行くのかと感無量。(体調を考え、鷲羽・ワリモ・槍はパスした) 三ツ岳頂上、7:00着。風強し。広い平地。 三ツ岳山頂で ここからは、高山植物のオン・パレード。 昨日の花々プラス、ミヤマダイコンソウ、イワウメ、ミネズオウ、オヤマノエンドウなどが、登山道の右に左にとびっしり咲き揃っている。 左手のずうっと奥に、富士山らしいシルエット。 「どう見てもあの特徴ある山は富士 山だね。」と言い合う。 オヤマノエンドウの群生地の真ん中で、あんまり綺麗なので休憩をとる。 三ツ岳の三角点のある本峰は通らず、下を巻いて雪渓を通ることとする。 今年は残雪が多いとか。結構長い雪渓を注意深く渡る。 前の大学生パーティーは雪渓を嫌って避けて通って行った。 ここから、ハクサンイチゲとの長い付き合いが始まる。 ショウジョウバカマ、コイワカガミ、それにハクサンイチゲ。この3種が、雪が解けた所、雪渓あとの御三家。 ぐるりと眺望がよく、花いっぱいのルンルンの稜線歩きの醍醐味を味わいながら、 気持ちよく歩く。 稜線は風もあり涼しいが、少し下がるとじりじりと太陽に照らされ焼けつくような暑さ。 ゴゼンタチバナ、チョウノスケソウと白い花が続く。 尾根の右側、岩のゴロゴロ(だから、野口五郎岳)したところを降りて行き、雪渓を登ったところに、青い屋根の野口五郎小屋。 布団も干してあり昨日の埃っぽい烏帽 子小屋とは大違いの清潔そうな小屋。 それを左手に見て登り切った所が、野口五郎岳、9:20着。 「槍」をバックにし て記念写真。 野口五郎岳山頂 遠くに灰色の雲。それが、だんだん広がって来る。左斜面は大きな雪渓。 これを水場としているようで、立ち入り禁止となっている。 前方にはこれから通る長い長い稜線が見える。 先は長い。 ザレた長い下りから、また稜線歩き。 しかし、こちらには花が少ない。 真砂岳の右側を巻き、右下に「五郎カール」と「五郎池」をみながら、登ったと思ったら下り、下ったと思ったらまた登りを繰り返す。 遠くの稜線から少し下ったところに小屋らしきものが見える。もしかして、あれが水晶小屋?と思っていたら案の定だった。 東沢乗越から、またまた本格的な登り。 ゆっくり、1歩1歩、花を愛でながら登る。 雪渓後のお花畑の綺麗なこと! ハクサンイチゲの白とミヤマキンポウゲの黄色、そ の中に、ミヤマオダマキの紫、ミヤマクロユリの焦げ茶、ハクサンフウロのピンクなどを見ながら、後ろの野口五郎岳からの延々とした縦走蕗を振り返りながら登る。 コミヤマカタバミ、薫の細い細いチシマアマナ、イワオウギ、イワベンケイにも励まされる。 暑さのため、同行者はパテ気味。 日頃、太陽と仲良しに なれない仕事のためらしい。 冷房のきいたデスクワークも原因らしい。 小屋までのジグザグのえらかったこと! 水晶小屋、12:05着。 ジュースを、まず、半分ずつ飲んでからお湯を沸かす。 この小屋は、豊富な雪渓か ら水を汲み上げているようでモーターの音がする。 だから、水は無料。感謝。 コーヒー・ティータイムとする。残ったお湯は次の小屋までのお茶とする。 珍しく、同行者が横になっている。 ワリモ岳、鷲羽岳は、登頂せず下を巻くことにする。12:50発。 キバナシャクナゲが真っ盛りの登山道を歩く。背丈20センチぐらいなのに大きな花を咲かせている。 雲は、だんだん空全体を覆うようになってくる。 ワリモ乗越を右手へ降りて行く。 目の前には、祖父岳の堂々とした山容が迫って来 る。 谷底が、岩苔乗越の四辻。右へ行くと、高天原。 真っ直ぐは、祖父岳から雲の平へ。左が、三俣山荘へ。 水晶小屋のオジさんの話では、「鷲羽岳を通るより30分は早い、残雪が残っている から歩きにくいところがある」とのこと。 岡山大学の「ファイトー」の声は、鷲羽岳の方から聞こえて来る。 曲がってすぐ、雪渓から流れる水の昔。迷わず、雪渓まで降りて水を飲む。つ・め ・た・あ・い・−。 この一筋の流れが、そのうち、どんどん集まってどうどうと流れる川になっていく のは、壮観。 岩苔乗越からの下り 谷川のそばに、大きなキヌガサソウの群落。もう、フイルムを使い切ってしまって いるので、同行者にカメラを借りて写す。 キヌガサソウ ぽっかり穴の開いている雪渓もあり、怖くて乗れない。で、山腹を渡る。 雨がぽつぽつ。まだ、涼しいくらい。少し、大粒になってきたので走る。 と、途中 で道が消えた。おかしい、 戻ろうとすると、後からきた二人連れと会う。「この道しかない」という事で、もう暫く川に沿って下って行くと、あった。ケルンが。 そこから、左へと入っていく。 雨は止んだので、川のほとりで小休憩を取る。 小さな、雪渓が溶けた川を幾つも幾つも渡り、川の流れはごうごうと変わる。 最後の登りであってほしいと思いながら、急登をいく。 降ったり止んだりの雨も、足を急がせる。 ミヤマシシウド 今度こそ、今度こその思いで登っていくが、何度も何度も裏切られ、 やっとのことでテント場が見えた。 水の豊富な理想的なテント場。 岡山大の一隊の「ファイトー」の声が、鷲羽岳の稜線から聞こえて来る。 大粒の雨になったところで、三俣山荘の屋根が見え、走り込む。 と、同時に土砂降りの 雨となり、幸運を喜び合う。15:20着。 延々、9時間半の行動時間。 混雑する時は、一つの布団に二人となるように、番号が割り振ってある。が、今日 は、一人1枚ずつでいいよう。 まだ早い時間なのに小屋の中は真っ暗。 ビールを飲み ながら、ヘッドランプをつけて天気図を取る。明日は、天気よし。 しかし、雨は叩き付けるように降っている。 夕食は、2回目となる。遅い到着だったから。 朝食は、早く並んだ順だとか。 テレビの明日の天気予報も、「晴れ時々曇り、所により一時雨」とのこと。
4:30起床。窓から山がくっきり見え、朝日の光も期待でさそう。5:45発。 テント場の中を通り、目の前に聾える三俣蓮華岳に向かう。 ハクサンイチゲ 頂上を通らないで下を巻く道もあったが、「朝の涼しいうちならピークハントもで きそう」と言う同行者の言葉で、三俣蓮華、双六の2山の稜線を通ることにする。 し かし、午後からの西鎌尾根は止めることとし、双六小屋から鏡乎小屋へ行くことにする。 青い空、緑の山、白い雪渓、白いハクサンイチゲが、ずうっと続き、幾ら見ても見 飽きない。 三俣蓮華岳山頂 三俣蓮華岳頂上、6:40着。風強し。そうそうに縦走にかかる。 ここからの尾根道も、花が多く、楽しみながら、復習しながら、適度なアップダウンを繰り返す。 ヨツバシオガマ、ミヤマシオガマ。 ミヤマシオガマ 双六岳への登り近くに、雷鳥の親子。4羽の子供にまとわりつかれて親鳥が1羽。 双六岳頂上、8:00着。ピークはこれで終りなのでゆっくりする。 2枚とも双六山頂 下山にかかると、「直登コースは雪渓が多く残っていて危険なので中道コースで下山するように」の看板。 途中で巻き道コースと合流したが、こちらの道はキバナシャクナゲが咲き始めたばかりで見事。 水源地を通り、急な道を下る。 双六小屋、9:15着。嬉しいことにここは水が流れ放題。顔、タオル、コーヒ ーと、自由に使える。 これから、「槍j まで行って行けないことはないが、大事をとって止め、のんびりと休む。 まだ9時なのにじりじりとした暑さ。10:05発。 今年は、コバイケイソウは、皆無。 下りとは言っても、軽いアップダウンはある。 「槍」を真ん前にして、雪渓の上で休憩。11:05〜11:20。 鏡平との分岐にザックを置き、ちょっとそこまで散歩。「笠」への縦走路が続いて いる。 一度下って、また登り返すのはしんどいので止め、ケルンのある所まで足を延ばすと、何と、ここが、「弓折岳」。ピークハントになってしまった。 まだ時間があるので、雪渓の上で遊ぼうとすると、チョロチョロ音がする。 流れ出 ている昔を探していってみると、小さな小川ができていて、お花畑もある。 下って下って、やっと鏡平小屋、13:00着。 部屋は清潔そうで明るく涼しい。 外は暑いので、食堂でビールを飲む。 夕食まで、池を見たり、昼寝をしたり、お花の勉強会を闘いたりとのんびりする。 日没を見ようと外で粘ったが、黒雲が出てきて諦める。 一つの布団に一人で眠れる。 おしゃべりの男性に食堂へ行ってもらって、就寝。
4:00、起床。日の出を見ようとしたが待ち切れずに4:50発。 この谷もなかなかいい。クルマユリは、まだ蕾。 6:00〜6:35、コーヒーとパンで朝食休憩。 7:30、登山口着。 登山口 ここからは、長い長い林道歩き。 ワサビ平、7:55着。 ミソガワソウ、タカネナデシコ、タテヤマウツポグサ、シモツケソウ、タマガワホトトギスなど。 タマガワホトトギス 新穂高温泉、9:15着。 一番風呂に入る。 ビールと山菜そばで腹ごしらえ。 10:30バス乗車。12:05、高山着。12:35、臨時列車に乗車。 |