八ヶ岳の八山に登った
      編笠岳・権現岳・赤岳         
     (観音平〜編笠山〜権現小屋〜権現岳〜赤岳〜真教時尾根)



編笠山の頂上で
後ろは八ヶ岳

●場 所 長野県・山梨県
●標高 編笠山 2524m  権現岳 2715m
赤岳  2899m
●山行日 1996年9月28日〜9月29日
●コース 観音平〜編笠山〜青年小屋〜権現小屋(泊)〜
キレット小屋〜赤岳〜牛首山〜美しの森
●多治見から
  登山口まで
多治見駅ー塩尻駅ー小淵沢駅=観音平
※ー鉄道 =自動車 ・・・徒歩 ⇒バス
●参加者 林、丹羽 
●コースタイム 1日目 9月28日
多治見駅発
小淵沢駅
観音平
編笠山
青年小屋
権現小屋
6:07
10:07
10:45発
13:50着
14:35
16:00
2日目 9月29日
権現小屋
権現岳
ツルネ(朝食)
キレット小屋
真教寺尾根分岐
赤岳
分岐
牛首山
展望台
たかね荘
5:45発
6:00
7:00〜7:35
8:00
9:30
9:45
9:55〜10:00
12:23
13:30〜13:40
14:30
地図はこちら


昨日は中秋の名月でまん丸お月さん。早朝、まだ煌々と明るい。
涸沢の紅葉も1週間ばかり早く、今日が最高だという情報もある。
紅葉と十六夜に期待が膨らむ

1日目 9月28日

タクシーで登山口へ

小淵沢からタクシーで観音平へ。
途中、車が何台も止まっているので運転手さんに尋ねると
「きのこ狩」だそうな。

途中の富士見平では、頭に雪をかぶっている富士山がきれいに見える。

駐車場はほぼ満車。少し歩くと観音平グリーン・ロッジに出る。
立派な建物だが人気がない。もうシーズンオフか?

10:45発。
高原の別荘地風のたらたらした登りなので、1ヵ月半のお互いの情報を交換しながら歩く。

静かな道・・・いいなあ〜

黄葉の始まった明るい道。きらきら光る木漏れ日。
マツムシソウやリンドウ・オケラ・トリカブトなどの秋の花が可愛い。
「ドイツの山は乾いていて目が痛くなってしまった。
日本の山はこの湿気がやっぱり良い」と同行者は懐かしそう。

休んでいるとひんやりしてきて、やっぱり夏の山とは汗の出かたも違う。
落ち葉の積もったふわふわとした膝に優しい道が続く。
なんと行っても静かなのが一番。美濃戸口からだとこうはいかない。

緩い登りだし、話は弾むしで、「えっ、もうこんな時間?」というほど。

すぐ押手川(おうてがわ)の分岐。
同行者の記憶では、前回ここに水が流れていたそうだが今回はなし。
右は青年小屋への道。我々はまっすぐ進む。

この辺りから北八ツ風の苔と岩の世界に入る。

頂上直下の登りは急・・・

傾斜も急になり、木の根・岩がゴロゴロした階段風の道になる。
空を見上げると青い空にダケカンバの黄葉が生えて秋らしい風情。
こんな天気の良い日に山に登れてついている・・・。

ここから頂上までは等高線のしわが狭くなっている所。
見上げても見上げても直登に道が続いている。
空の上に何もなくなってやっと稜線。
岩のごろごろしたピークが編笠の頂上。13:50着。


編笠山の頂上から八ヶ岳を望む


錦織物と360°の展望

きれ〜い。目の前に赤岳・中岳・阿弥陀岳。
端っこの方に蓼科山とそれに続く稜線。
ずーっと上のほうに今日の宿泊予定の権現小屋。
その上はごつごつした権現岳。

八ツは山全体が錦織物。どちらかといえば黄色が多い

振り返って南アルプス。甲斐駒・仙丈・北岳・北沢峠などが見える。
ちょっと横を見ると御岳・乗鞍。

もうちょっと視線をずらすと北アルプス。
槍のとんがりが見える。なら、そのとなりが穂高か・・・。
ほんとうにぐるり360°の景色。

青年小屋もいいなあ・・・

同行者は胃の調子が今一つ。久しぶりの山行のせいかも。
権現小屋はここから2時間。遥かとお〜い山の上に見えるが、
2階休憩を取れば着くわけだから、「ゆっくり行こうよ」と。

下りはなんて楽なんでしょう。
紅葉の始まった木々の間の狭い道をすいすいと下っていく。
青年小屋の上は大きな石がゴロゴロ。
岩の天辺のペンキに導かれてひょいひょいと踏んで降りていく。

青年小屋通過、14:35。
おもしろ〜い。暖簾に「遠い飲み小屋」と書いてある。
同行者の記憶によればいろいろなお酒が置いてあったとか。

う〜ん、権現小屋に決めたのは早計だったかも・・・。
クラッシック音楽もバックミュージックでかかっていたとか。
でも、どちらも村営だし、権現小屋のほうが空いているだろうと考えたし、
同行者がまだ泊まっていない小屋を・・・と考えた末の選択だから仕方がないか・・・。

権現小屋はランプ・・・

一番底まで降りてからいよいよ登りにかかる。
下ってからの登りはこたえる。スピードが落ちる。

黙って登った見晴らしのいいピークが「ノロシバ」らしい。
なるほど、狼煙を上げるのにぴったりの場所。
振り返ると本当に編笠のような左右対称になっている山である。

ここからしばらくはたらたらの楽な道になったがすぐ、ギボシの岩場になる。

ザレとガレの入り混じったジグザグの道をペンキに導かれて登り、
鎖場をトラバースして、権現小屋に着。16:00。

小屋の中は薄暗く、7〜8名がコタツの中や机の前に座っている。
小屋番さんは丁度4時の無線の交信の時間。終わるのを待って手続き。
素泊まり1人4500円。
コタツはあんか入り。ビールは私好みによく冷えている。
この小屋はランプのみ。

自炊もいいよ〜

早めに昼食にしないと暗くなるから・・・と促し、準備に取り掛かる。
その間にも続々と人が入ってきて狭い小屋は満員。
寝室は蚕だなの様な2階。垂直の梯子で登る。

自炊は3組。東京からの20代の男性と向かい合って
端っこの自炊用の机でいつものマーボー野菜
水は100円で買う。大きなタンクからひしゃくで1リットル汲んでくれる。
小屋番さんは夏は2人。今は1人で全部やっていると。

たくさんできたので東京の男性におすそ分け。彼は白米の雑炊のみ。
本当はテント泊だが、昨日赤岳鉱泉であまりにも寒かったし、
青年小屋までテント場がないので・・・の理由で今日は小屋泊まりにした・・・と。

食欲は2人ともあり、体調は良いようである。
食べ終わって片付けてもまだ明るい。
隣のテーブルでは小屋の食事が始まっている。
カレーとスープとサラダ。お代わりは自由だとのこと。

ほかほか布団でぐっすり

食後、ザックは1階の棚の上に置いて、
必要なものだけ持って垂直の怖い梯子を登る。
靴も紛失しないよう大きなビニール袋に2人分入れて棚に置く。
奥に向かって右側はもう満員。左にはまだ余裕。

1枚の布団に2人と聞いたので窮屈かな?と思ったら
敷き布団がダブルのように広いので(敷いてくれた人がかけ布団と間違えたらしい
が、かえってゆとりができて)楽々となった。

布団が暖かいので「何で?」と聞くと、こちら側の布団だけ干したのだそうな。ラッキー。
おかげでほかほか布団で眠れた。

布団に入るとぽかぽかしてすぐ眠りの世界へ。今日は鼾をかく人もなく静か。
夜中、暑くてズボンも靴下も脱ぐ。

2日目 9月29日

期待通りの十六夜の月

早朝外へ出ると、十六夜の月が煌々と辺りを照らしヘッドランプが要らないほど。
あまり明るいので星がたった2つしか見えない。
街の灯も車のライトもよく見える。月の周りには大きな光輪。

天気が悪くなるのかと気掛かり。
寒くないので石に座って白い月の光を浴びて
静かなひと時を楽しんでから部屋に戻る。

これで八山完登・・・

5:30に外へ出るともう明るい。同行者を起こして、5:45出発。
天気がよければ外で朝食を食べることにしている。
2〜3分で権現への分岐。

林さんは2度目なので分岐で待っているというが
私は初めてなので頂上を踏みに出かける
あっという間に難なく頂上着。分岐の同行者に手を振ってすぐ下山。6:00発。

登るために下る・・・

すぐ急な下りに入る。ストックを片付け、「源治バシゴ」に取り付く。
60数段あるとかのながーい梯子。
赤岳に上るにはまだまだ下らなければならない。気の抜けない岩の下りが続く。
前方に阿弥陀・中岳・赤岳の稜線がくっきり見える。
直線でいければ短いのだが・・・。

晴れて風のない日の朝食スタイル

ツルネと呼ばれる小ピークに着、7:00。
キレット小屋で朝食を・・・と考えていたがどん底では展望が悪い。
ここなら広場もあるし、展望は360°だし、風もないしでここを朝食の場に決める。
サラダと飲み物、雑炊。行動用のお茶も沸かして7:35発。

岩場が好きになった

ここから下った所がキレット小屋。テント場と水場がある。

ここから赤岳までの高度さは、440m。
キレットあり、岩棚あり、岩稜ありでスリルがあって面白い
滑りやすいザレたジグザグの道を登り、
足元が切れている鎖場を登りつめた所が稜線。

阿弥陀・中岳・赤岳が谷を隔ててよく見える。
赤ペンキを探しながら岩棚を登っていく。ぐいぐい登る感覚がいい
下から見えたピークは赤岳ではなく天狗尾根だった。
登りつめた所からやった赤岳が姿をあらわした。

まだまだ急登は続く。
同行者の足取りが重いのは、1ヵ月半のブランクがあるからか?


真教寺尾根と赤岳との分岐で

1人で赤岳へ

真教寺尾根と赤岳との分岐に着。「私はここで待っている」と同行者。
ザックを置いて1人で赤岳へ。
身軽になると小走りで行けてしまう。9:45頂上着。
即、下山。

さっきの分岐に戻ってみると、彼女は地面に横たわって休憩中。
ぽかぽかと日があたって昼寝に最適だったという。10:00発。


八ツの秋は黄色が多い

ここの下りは中岳より慎重に

8箇所ほどの鎖場・・・・とあったが、急な岩場が連続する。
登りは足元が見えるのでいいが、
下りは足元が見えないので危険・・・を感じる。

鎖にすがり、落石を起こさないように慎重に足場を選び、下る。
赤岳から中岳への下りより緊張する。
やっと鎖場から抜け出ると今度は歩き難い
岩ゴロゴロ地帯がしばらく続く。

タクシーで清里駅へ

扇山・牛首山までは歩きやすい道。つい早足になる。
ビールを楽しみにどんどん下る。

展望台に13:30着。
ビールがないのでラベンダーのアイスクリームとウーロン茶で我慢する。

あと少し・・・と思ったがながーくながーく感じた
スキー場の中を突っ切るのを避け登山道を選んだからか?

羽衣の池を通過し、ずーっと続く人工的階段を降りる。
そして、町営の「たかね荘」に着、14:30。

タクシーを呼んで待つ間にロビーでビールを飲む。空になる前に来てくれた。
清里駅から小海線で小淵沢へ。満員の人出。
塩尻・中津川で乗り換え多治見に着。

山行記録(1996年〜2000年)へ戻る

トップページへ戻る