八本歯のコルから   北 岳 へ
     (広河原〜二俣〜八本歯のコル〜北岳〜肩の小屋〜二俣〜広河原)



北岳頂上
ぐるり・ばっちり見える

ウラシマツツジをバックに

●場 所 山梨県南アルプス市
●標高 北岳  3192.4m
●山行日 1996年9月14日〜9月15日
●コース 広河原〜二俣〜八本歯のコル〜北岳山荘(泊)
〜北岳〜肩の小屋〜二俣〜広河原
●多治見から
  登山口まで
多治見IC=韮崎IC=広河原(P)
※ー鉄道 =自動車 ・・・徒歩 ⇒バス
●参加者 丹羽 早川 佐藤本 水野裕 久保
●コースタイム 1日目 9月14日(土)
多治見発
広河原(P)
迂回地点
二俣手前
八本歯のコル
北岳山荘
4:00
8:10
9:50〜10:00
10:48〜11:00
13:55〜14:05
15:30
2日目 9月15日(日)
北岳山荘
北岳
肩の小屋
分岐
二俣
広河原山荘
広河原(P)
6:15発
7:30〜7:50
8:15〜8:30
8:50〜9:00
9:55〜10:20
12:45〜13:00
13:20着
地図はこちら


1日目 9月14日(土)

雨の中、南アルプスへ

北岳へ行かないかとのお誘いがあった。
「5人乗りの車」と聞いたのであちこち電話を掛けて誘う。

天気予報は、1日目は雨、2日目は曇り時々晴れとなっている。

朝、やっぱり雨。
4:00発。 30分で武並に着き、メンバーを1人乗せ中津川lCへ。
こんな早朝でも大型トラックが頻繁に走っている。

駒ヶ根SAで休憩、おにぎりで朝の腹ごしらえ。
韮崎ICで降りる。
今回は間違えることなくスムーズに南アルプス林道に入る。
2ケ月前に来た夜叉神峠にまた来れるとは・・・

ここからのくねくね道は、雨が降っ ているから余計気が抜けない。
が、早朝のため車とすれ違うことが無く無事に駐車場に着。8:10。

既に駐車場は満車

駐車場はほぼ満員。(帰ってきたら4倍くらいに車が増えていた)

雨の中で準備を整え、トイレも済まして8:40発。

武並からのメンバーは、何と!雨靴で。

始めのうちは歩きやすい道なので傘を差して歩く。
雨は小降り。

大樺沢沿いにを登る

白根御池小屋の分岐で衣服調節のため休憩。9:05〜9:10。

私は、雨具の上着を脱ぎ傘を差して歩くことにする。

武並からのメンバーは、雨具を脱ぎ、ヤッケで。

新人のメンバーは、「綿」を何枚も着ている。
少し脱いだがやはり小屋に着いてから手先が冷たいと言っていた。

分岐から下って、大樺沢沿いに緩く登っていく。

トモエソウ、ノコンギク、コウ シンヤマハツカ、サラシナショウマなどの秋の花がいっぱい咲いている。

沢の水もゴーゴーと流れ川のような登山道を沢登りふうに何度もざぶざぶと渡り歩いて、ガレの手前に乗る。

雨は止んだり、霧雨になったりするので傘を閉じたり闘いたり しながら歩く。

このガレ場から沢を左に渡って迂回しなければならないので休憩とする。9:50〜10:00。

ここから、落石注意のガレ場と急登があるので、傘を片付ける。
一山越すだけなのだが、いつも長く感じられる。

トリカブトは種になっているし、アキノキリンソウくらいしか咲いていない。

合流地点への急な下りの場所はよく整備されていて、ザイルもあるし、階段状にもなっていて以前のようにずるずる滑り降りることはなかった。

橋を渡って沢沿いからの道と合流する。

今回は危険ということで登山道は遮断さ れていた。

前回、「まあ、いいや」といって真っ直ぐ進んでしまったが、これだけ厳重では・・・
みんな迂回路を通っているのだろう。

ここからは、じめっとした薄暗い樹林帯に入るが、長くは続かないので有り難い。

沢沿いの明るい、花の多い道に出ると気分も明るくなる。

二俣からは初めての道

二俣に近づくと、上の方にまっ白い雪渓が見え始める。
これから登る八本歯のコルへ出る道。

メンバーの1人は、口数が少なくなってきたし、花の話をしても返事が返ってこないし、下ばかり向いているので、「つらそうだな」と分かる。

時間を見ると50分になろうとしているので、二俣の手前だが休憩とする。10:48〜11:00。

ミソガワソ ウやタカネグンナイフウロ、タカネナデシコ、ヤマホタルブクロ(すごく花が大き い)がまだ咲いている。

しんどそうな2人・・・スピードを落とす

二俣はさすが人が多い。
水場でもあるので休憩適地。
その間を縫って沢を渡り、いよいよ未踏の地へ進む。

沢の右を(地図上は左岸)沢にそ って登っていく。
ファミリーやカップルや若者・中高年と登山者が多い。

新人のメンバーから「休みたい」と声が掛かる。
えっ、まだ30分たっただけなのに・・・と思ったが、顔を見ると血の気が無く、しんどそう。
高度障害らしい。11:30〜11:40、休憩を取る。

新人のメンバーの荷物を少し持ち、スピードをさらに落とし、2番手に歩いてもらうこ とにする。
「ついてこようとしないで自分のスピードで歩いてね」と行って前を歩く。

ゆっくりではあるけれど、道端の花に目をやる余裕があるので大丈夫と判断。
ジグザグの道となり、傾斜もだんだんきつくなってくる。

30分たって、また休憩を取る。12:10〜12:20。

今度は別のメンバーがしんどそう。
荷物を少し持ち、先程の荷物は元の持ち主に返す。

つらそうなメンバーを2番手に。

バットレスへ行く道を右に分けて、沢水の流れるところで休憩。
30分たっていないのに感違いして12:40〜12:45、休憩。

ガスで先が見えず、いったい今の時点どの辺なのかが分からず余計疲れる。

沢を渡り、また渡りかえしとジグザグにつめていき、やっと右へ入る道に取り付 きそろそろ八本歯のコルに近くなったかと喜んだ。

梯子・梯子・梯子

そして1番目の梯子。それを登ってから休憩。13:15〜13:25。

武並からのメンバーは、ここが2回目だけれど、前回苦しいことしか覚えていなくてどんなルートだったかさっぱり記憶にないそうである。

見上げると梯子が見えるのでストックは短くしてザックの横に片づけてしまう。

短い梯子がいくつも出てくる・・・というので数える人も。(20までは確かにあった

ナナカマドの葉が紅葉しはじめており、今日は霧雨が葉っぱについて銀色に光っていて美しい。
後から後から出てくる梯子にいいかげん飽きた頃、やっと池山吊尾根道に出る。13:55〜14:05。

天候が良ければすぼらしい展望だろうと想像するのみ。

池山吊尾根方面はやせ尾根の急登降の連続風。

後はたらたら道を行けば北岳山荘と思っていたらこれが大違い。

まだ梯子は出るわ、大きな岩岩が出るわ、登りはあるわ・・・で予想に外れた分ごっそり疲れが出る。
2、3番手の足取りは遅くつらそうである。

やっと北岳からの下りのルートと合流する地点に着。

大きなザックが数個雨に濡 れている。

彼らは空身で頂上アタックらしい。

やっと楽な下りになる

我々はトラバース道を下る。何と下りは楽なんだろう〜

しんどそうだったメンバーからも言葉が出るよ うになってきた。

ルンルンの道だったと記憶にあったが、岩場もあるし、左下は急斜面という足場の悪さもあるしで、気が抜けない。

今は草紅葉となり、所々にキンバイソウ、ヤナギラン、ハハコヨモギ(アサギリソウと間違えた)、キタダケトリカ ブト、ベンケイソウの赤い色などが印象的。

歩いても歩いても山荘に着かない。
本当に辺りの景色が見えないと、先が見えな いせいで道のりが何倍も遠く感じられ、疲れも何倍にも感じる。

尾根へ出ればわか りやすいかと思い道を変える。

目の前のコブを超えれば山荘と思いどんどん歩く。

ウラシマツツジの紅葉が見事。
予想はあたり、山荘がガスの合間にちらと見えた。 15:30、山荘着

献立はしゃぶしゃぶ

入り口の左に濡れた物の水切り場。
そこへ雨具を吊り下げ扉を開けて受付をする。

武並からのメンバーが寒さを訴えるので先に着替えをしてもらい、代わり に手続きをする。
布団あり食事無し

水切り場の奥が自炊場なので、さっそく陣取る。空いている。

今日のメニューは しゃぶしゃぶ。

新人のメンバーは「手の先がしびれる」と言っている。指先も冷たい。
たぶん 雨に濡れて冷えたからだろうが着替えを勧めても「いいです」と言って遠慮?

手袋 を貸す。食べれば曖かくなるので急いで支度をする。

男性メンバーは大きい缶ビールを 1個、お酒の小パックを2個、イカのつまみも。
これだけ入っていれば重くもなる。
そして、アルコールが入ると食欲が減るのか、いっこうにお肉と野菜が減らな い。
もうおなかいっぱいという所で片づける。
お肉にだけ火を通しておいて、他の自炊道具はすべて部屋の片隅に置いておき、寝室へ行く。

ふわふわ布団と毛布でぽかぽか

始めは一つの布団に2人だったが、しばらくして放送で「1人ずつ」と分かりゆっくり寝られる。

お布団もふわふわ、毛布もふわふわが3枚ずつ。快適。

雨具が紛失しないように取り込み、外で歯磨きを済ませ、就寝準備。

女性メンバーは早々と床につき、男性メンバーは階下で他の女性とお酒とたばこを楽しんでいる。

5時過ぎに着いたパーティーがいたが、「夕食は用意できない」といわれ、8時ちょっと前についたパーティーには「もうすぐ消燈ですよ」という声が聞こえてく る。

ぽかぽか暖かいので、ズボンも靴下も脱いで寝る。

2日目 9月15日

天気が良い!!

早朝、うるさくなったのでトイレへ行ったついでに外へ出てみると、満天の星
天の川もはっきり分かる。
天気がいいことを確信して戻ると新人メンバーに会う。
フリ ースを貸して布団に潜る。

我慢してやっと5:20、起床とする。

荷物も全部持って下へ降りる。
自炊場はま だ空いている。

今朝のメニューは雑炊(おにぎりを曖かくたべる方法)味噌汁、ポ テトサラダ。

昨日、ガスの出が悪かったコンロも今日は元気。
昨日のお 肉はおかずにする。
終わりかけた頃、日の出

自炊道具を置いといて見に行く。

富士山も雲海も御来光 もみんなきれい。空は快晴。

  
           雲海と富士山
  
行動用のお茶も沸かし、パッキング。
なくした帽子も受け付けに届けられておりく名前を書いておいた)労山旗を持って記念写真を撮る。6:15、出発。

  
     北岳山荘前で

昨日来た道を戻り頂上目指して歩きはじめる。

北岳へのルートは強風の時は避け るように張り紙がしてある。

防寒具は必需品

稜線伝いという ことでなるほど涼しい。

「寒かったら1枚着てください」と言って、1枚羽織ってもらう。

ウラシマツツジの紅葉がきれい。

  
      ウラシマツツジが綺麗〜

途中すれ違った女性のパーティーから「こちら側より向こう側のウラシマツツジの方がきれい」だと聞かされ胸が弾む。

山荘から頂上だと見えていたのは手前のピーク。
本物はもっともっと先。 6:48〜6:55、休憩。
私もフリースを出 して着込む。

新人のメンバーは「耳が痛い」というのでフリースの帽子を貸す。

頂上直下のザレ場は、歩きやすく地ならしがしてある。

展望良し・・・

北岳頂上、7:30〜7:50。
富士山、鳳凰三山、甲斐駒、仙丈、槍などぐるりがばっちり見える。

  
       北岳頂上
  
写真を撮り合って下山。

肩の小屋に8:15〜8:30。

鳳凰三山が低くなっ て、仙丈がどっしりと大きくなってきた。

ウラシマツツジの真っ赤な絨毯

小太郎尾根分岐までは、なるほどウラシマツツジの饗宴。

  
        斜面いっぱいにウラシマツツジ

「バックを地蔵岳のオベリスクで、手前にウラシマツツジを持ってきて1枚撮って」と言ったら「どうぞ」
とカメラを手渡される。

出来上がりを見ると、うーん、素晴らしい出来。
ただ、オ ベリスクが小さすぎて、それと知る人にしかわからないという難点はあったが。

分岐で休憩。8:50〜9:00。

  


続々登山者が登ってくる。
何と3歳の幼児も。

たいていは白根御池小屋からだが、なんと甲府発、3:00のバスに乗って、もうここまで来ている若者に出会った。
ジーパンにTシャツ、ナップザックの軽装。

二俣までの道は、もうちょっと早ければ花・花・花だったろうが今はもうアザミと、タイツリオウギの実と、リンドウぐらいのみ。

すれ違う登山者に道を譲り「いい天気ですね」と声を掛ける。
今日は北岳山荘は混みそう・・・

快晴で空は雲一つ なし。下る身は気持ち良いが、登る身になってみれば暑くてパテそうな陽気。

二俣に9:55〜10:20。
ゆっくりお湯を沸かして暖かい飲み物をおなかに入れる。

昨日通った道をまた歩く。
登山者は続々と北岳を目指している。

今日の北岳山荘は 混雑するだろう。

名残惜しい・・・が、下山

昨日雨の中を登って、涼しくて、山荘は空いていて、朝こんな快晴に恵まれて、最高だったかも・・・と話し合う。

橋を渡った所で休憩。11:30〜11:35。

男性メンバーは川の中に足を浸している。

さあ、ここから約1時間で広河原。
味わって歩くことにする。

昨日ほどの流れではないが、しぶきを上げて流れる大樺沢、登山道を流れる沢登り風の流れ、沢に注ぐ滝のような急な流れ、ノコンギクの群生。

濡れた傘を差して乾かしながら歩く。

それらとも分かれて広河原山荘に着。12:45〜13:00。

トイレ、顔洗い、バス停でアイスクリームなどを食べて駐車場13:20発。
温泉目指して。

車がぐんと増え、トンネルの手前の道まで駐車してある。

村営の温泉で汗を流し、蕎麦をおなかに入れ15:15発。

19:00頃多治見着。

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