姉の家に泊まって
     黒味岳・宮之浦岳へ


                             

 

ジェットフォイル高速船「トッピー」


宮之浦岳登山口


宮之浦岳山頂

●場 所 鹿児島県屋久町
●標高 宮之浦岳1936m  黒味岳:1831m
モッチョム岳:940m(途中で引き返し)
●山行日 1996年8月16日〜8月21日
●コース 8/17 黒味岳・宮之浦岳  8/19 モッチョム岳
●多治見から
  登山口まで
JR多治見駅ーJR勝川駅⇒名古屋空港≠鹿児島空港⇔リムジンバスで市内へ・・・北埠頭へ⇔高速船で屋久島へ=姉の家=登山口まで送ってもらった
※ー鉄道 =自動車 ・・・徒歩 ⇒バス ⇔その他 ≠飛行機
●参加者 丹羽、林
●コースタイム 1日目 8月16日(金)
JR多治見駅
JR勝川駅
名古屋空港
鹿児島空港
北埠頭
屋久島・宮之浦港
姉の家へ
6:55発
7:16着
8:30発
9:55〜10:00
13:00発
15:30着
・・・
2日目 8月17日(土)
姉の家
宮之浦岳登山口
花之江河
黒味岳
宮之浦岳
宮之浦岳登山口
4:00発
5:20〜5:40
8:20
9:40〜9:45
12:35〜12:45
17:25着
3日目 8月18日(日)
天候が悪いので、ドライブ
4日目 8月19日(月)
姉の家
モッチョム岳登山口
引き返し
モッチョム岳登山口
服のまま海中へ
8:50発
10:35〜10:45
13:00
15:50〜16:00
・・・
5日目 8月20日(火)
姉の家
フェリー乗り場
JR宮崎駅
11:00前発
13:20発
20:59〜23:30
6日目 8月21日(水)
列車を乗り継いで名古屋へ

10:16着

            周辺地図はこちら


1日目  8月16日(金)

列車・飛行機・高速船を利用して、屋久島へ

前日、お土産に頭を悩ましながらパッキングをする。

野菜がないかも?と思って、インゲン、ミヨウガ、ササゲを詰めてみた。
インゲンは嫌い、他二つは現地でも収穫できるんだって。

多治見は陶器の町。陶磁器でできた大根おろし器はどうだろう。
ビ ール券ならどこでも使える。
ういろう(姉は依然、名古屋に住んでいたので)
チヤツカマンとそれ用のガス。
やっぱり大きいザックとなる。
・・・・・・・・・・・・・・・・

JR多治見駅、6:55発、JR勝川駅、7:16。
同行者と合流して、バスで飛行場へ。7:35発、約15 分で着。
時刻表には19分とあったが、朝が早いせいか渋滞もなく時間待ちをするくらいのゆとり。

航空券は同行者の手配で購入済み。
待つまもなく手続きをし、荷物検査も身体検査も簡単ですぐ搭乗。
国内線は電車並みの簡便さ
席は11C。

工場の騒音ほどのうるささ。
昨日は満席だったとか、今日は結構空いている。 8:30発。

9:55鹿児島着。予定通り。機内食は無し、お絞りとお茶とあめだけ。

10:00発のリムジンバスで市内へ。金生町で下車。
約1時間、ジェットフォイルの出発まで市内目抜き通りで昼食場所を探す。

岐阜の柳ケ瀬風の町並み。
トンカツ 屋に入る。850円と言う値うちな値段で定食を食べる。
ソースが一味変わっていた。
「味噌は入っていない、いろいろ入れてある」・・・そうだ。詳しくは教えてくれない。

20分ほど歩いて、いい時間に「北埠頭」に着。
搭乗券の手続きを同行者に任せて2階待合室で待つ。
満席。 13:00発。

このジェットフォイルは全席指定席
シートベルト着用を勧めているが飛行機ほど厳しくはない

2mばかり浮き上がって海面を疾走するのだそうな。
そのためか揺れも殆どなく船酔いも無し。

途中、種子島でお客がどんどん降りるの で???と思っていたら乗り換えだそうで、「聞いてな〜い」。
慌てて最後に下りる。

席は同じ番号。14:40〜14:50。

席から離れて出歩く場所が無いので、外も海も景色もじっくりは見えない。
その点、帰りのフェリーはグッド。

海を眺めていたら眠くなってしまった。

時間通り屋久島・宮之浦港に着。

  

  

右手方向に待っていてくれる姿を発見。
乗ってきた船をバックに2人で写真を撮ってもらう。

    
     宮之浦港に到着

赤い頑丈な4WD車に乗って、麦生へ。
宮之浦が1時の方角なら、麦生は5時の方向

畑が少ないことや、荒れ地が多いこと、店が少ないことなど見たり聞いたりして姉の家に着。

主はパンツ1枚の楽々スタイル。

明日、山へ行くのなら食料とガスを買いに行かなければと思っていたら、ガスは 何年も前のがあるそうで、出してもらう。
試しに火をつけてみるとちゃんと点く

食料はパンが注文してあるとかでこれから取りにいくと。
便乗してAコープまで行く。しかし欲しい物ははなし。こんにゃくゼリーだけ購入。

ついでにあちこちと観光案内をしてもらいながらドライブ。

夕食はこまごまとした和風献立。ビールは置いてないとかで冷や酒を貰う。

明日は一応の用意はしていくが日帰りと決める。小屋がきれいとはいえないと聞いたから。

2日目  8月17日(土)

宮之浦岳へ 黒味岳もついでに登頂

3:30起床、4:00発。
明るくなる頃に、登山口に着きたい・・・と希望したから。

途中のゴロゴロの林道で、シカを見た。2頭。親子らしい。

帰りにも2回見たそうで やっぱり同じ辺りだとか。

5:20、登山口着。車2台の先客あり。簡単におにぎりとお茶で腹ごしらえをし、雨具着用で5:40発。

10分後に無線の交信をすることを約束して、看板の横からすぐ登りに入る。

10分後の交信は小さいピークを過ぎた所で。
はっきり聞こえる。なら、「次は9:00に」と約束して切る。

結局、次に交信できたのは、17:00過ぎ
やっぱり同じくらいの地点で無線の限界を知った。

フタリシズカ(南限だって)がたくさんある。今ごろ?(ここでは4〜8月までが開花の時期だって)

岩の中に石があり、中の石は硬いらしく周りが砕けてもしっかり残っている変わった岩があっちにもこっちにも。
後で調べたら、花崗岩の中に正長石が入っている・・・のだそうな。
屋久島花崗岩という特殊な岩らしい。

後ろから男性が追い越す。私達より先に出発した男性もいたので2人め。
「暑くないですか」と雨具の着用を聞かれる。
その時はそれほどではなかったが、結局雨に濡れた方が汗で濡れるより涼しい・・・ということで上だけ脱ぐことにする。6:08〜6:15。

うっそうとした原生林の中アップダウンを繰り返しながら、雨に濡れた木々を眺め、花を探しながら歩く。

山に登るのに、どんどん下って淀川小屋に着。6:30。
交信したり、雨具を脱いだりで時間を取り50分の行程。実質は35分くらいか。

小屋は広くて薄暗くてかび臭そう。やっぱり泊まらなくて良かった

若者は食事の準備中。テントも一張り。水場は少し降りた川の水。

食べて飲んで6:45出発。

すぐ、底まで見えるほど澄んでいるとっても水のきれいな淀川にかかる橋を渡る。
すぐに急登となり、ここからがいかにも屋久島らしい風景となる。

掘り割りのような登山道、木の根の階段、大きな段差のある岩の乗越し、谷川のような登山道。

ヒメシャラの赤い木の幹を別にすれば、周りは緑・緑した大木の集まりで、どれだけ進んでも同じ風景。

ママコナがたくさん咲いている。ヤクシマママ コナと言う固有種だと後で分かる。

7:45〜7:55、休憩。

8:00ころから雨が止み、それからは薄日が差すこともあり、天気が良くなっていくかと喜んだのだが。(もっと悪くなるとはね)

途中から、木製や黒いタイヤのようなクッション性のあるゴム?製のステップに 出会う。
「こんな所、必要ないのにね」と話し合いながら歩く。

ところが帰りのぐち ゃぐちゃ道には効果的だと分かった。
ずぶっとぬかるみに入らなくてもいいから。

次の花之江河までは登ってから下らなければならないので、楽な下りが後で 「苦」になる。

痛いアザミの花。ヤクシマアザミ固有種)というそうな。

途中の高盤岳(こうばんだけ)展望台にも上がってみたが展望ゼロ

高層湿原ときいていたので尾瀬のような所かと想像していたが、昨日の姉の話では「どこだろうと探しているうちに終わってしまっていた」・・・というので期待は薄い。

始めにあったのが小花之江河、ガイドブックにはこちらの方が美しいとあったが 、小さな小さな湿原
ぐるりと見回せばそれで終わり。8:10着。

ここから緩く登って下りた所が花之江河

丁度宮之浦岳との中間点だとか。どちらへ行っても4キロ・4キロとある。8:20着。

ヤクシマホシクサ、コケスミレ、ヤクシマコオトギリなどが生育している」・・・と説明してある看板がある。

といってもそれといった花は見当たらない

宮之浦岳への道を取る。ここからがまた屋久島らしいワンランク上の道となる。

沢登り風に水の中をジャブジャブと歩き、岩をよじ登り、またぎ越して登る

20分ほどで黒味岳の分岐に出る。大きなザックが数個置いてある。空身で登っているらしい。
往復で約1時間とある。
時間の余裕はあるので行くことにする。

町民登山をしているとも聞いていたので、簡単に登れると思ったのが大違い。
ぐいぐい登っていく。
ザイルのある岩場あり、足がかりの無い岩場ありなどで結構手間取る。

頂上で交信できるかと思ったが、とても9時には着けれないと思ったので、頂上(多分)直下で8:55にトランスシーバーを取り出し呼びかけるが全然反応無し

あき らめてそれ以後交信は止める

風が強いので雨具を着る。9:15発。

どうも頂上直下からすぐには登れず、ぐるりと後ろ側へ回り込むようである。

ジンチョウゲのような花発見。シヤクナンガンピと後で分かる。
とても背の低いオトギリソウもヤクシマコオトギリと後で判明。
頂上は大きな岩の固まり
足元に変わったシオガマ。後でヤクシマシオガマと判明。
どちらも屋久島に固有な植物

岩の上に黒味岳頂上の標識。9:40〜9:45。ガスと風で展望ゼロ。すぐに戻る。

寒かった頂上も、下に降りると暑くなり、雨具を脱ぐ。9:50〜9:55。

どんどん下って分岐に10:20着。1時間40分かかってしまった。

またまた緑・緑の同じような景色。
たらたらと横歩きしていったいいつになった ら稜線に出れるのかと思う。

汚れた手袋を水場ですすぎ、絞ってまたはめる。

水量の多い河に出、花崗岩の岩場を登った所で休憩。10:45〜10:55。

ここらが投石湿原。ロープが張って立入禁 止となっている。

そこを登った所がキャンプに最適な広い場所。しかし、「キャンプ禁止」の立て 札。

すぐの所に大きな岩が屋根になっているような投石岩屋。ここで泊まった人がいる。

すれ違った親子連れに「昨日はどこ泊まりでしたか」と尋ねると、この岩屋で泊まり、頂上を往復して帰ってきたらしい。

こんな所、雨風を避けるのがやっと・・・と いった所なのに。(帰りに雨の中で休憩)

帰り道すれ違った子供連れのパーティーも「岩屋で泊まる」と言っていた。
この辺りは頂上を踏まず少し下を歩くように地図ではなっているが、何しろ展望が悪いので、どこがどの山かも分からず。

小さな葉のササが出てくる。ヤクシマダケと後で分かる。

水の流れる道のアップダウンを繰り返すと「最後の水場」と書いてある流れに到着。休憩11:45〜11:55。少し飲んでみる。

ガスの中に大きな岩が点々と見える。 「かぼちゃ型」だの「まんじゆう型」だのと名前をつける。

樹林帯は抜け出しているので、見晴らしが良いのだろう。

どんどん登る。が、どこが目的地か分からず。

ぼうっとガスの向こうに見える山かな?と期待して登って いくとまだまだ。

どんどん登ってあの山かな?と思っても、まだまだ。

大きな岩があちこちに見える。 やっと12:35、宮之浦岳頂上着。
寒い。風が強い。写真を撮ってすぐ下山。12:45発。

  
      宮之浦岳山頂

この寒い中でガスを沸かしている人がいる。風の吹きっさらす尾根で休憩を取っているファミリーもいる。半袖の綿シャツスタイル。寒かろう。

さっきの水場に13:15〜13:20。
と、雨が降り出した。
最初はぽつぽつだが、だんだん強くなり、夕立並みの強さになってきた。

見る見る間に登山道の水が増え、 本当に河の中を歩いているよう

そのうちロングスパッツとズボンを通り抜けざーざーと靴の中に水が流れ込むのが分かるほどになる。
靴の中で足指が泳いでいる。
そのうち止むだろうと思っていたが何が何が。

そんな中で若い2人租に出会う。
Tシャツにジーパンスタイルで、持ち物はぺちゃんこのナップザック一つ。
そんなスタイルでこの雨の中登ることに呆気に取られてしまう。

しばらくして引き返してき たので「心配していましたよ」と言うと「やっぱり」と答える。
確かに足は早いがね。

こんなでは、時間は来ているが休むこともできなくて岩屋まで歩くことにする。
14:05〜14:15。投石岩屋で休憩

同じ道を下る。花之江河、15:00通過。
淀川の橋に16:30〜16:40。

17:00の約束に間に合わないことが分かったので トランスシーバー片手に呼びかけながら下ることにする。

ところが下りといっても 登りが結構あってしんどい。

呼びかけてもなかなか通じずはらはらさせられる。

やっと通じたのが17:00ころ。無線の限界が分かってしまった。

プツプツプツツと いった具合に何とか交信できたが、はっきり声が聞こえるようになったのは登山口から10分手前
なんのこっちゃ。
登山口17:25着。二人で出迎え。申し訳ない。

  
    登山口までお迎え

車に揺られて帰る。
車が無ければ日帰りどころか、悪くすれば山中2泊の行程になる山。

帰りの車の 中から屋久猿を見かける。

屋久杉ランド付近にたくさんいて、 観光客に食べ物をねだるのだそうな。
窓を開けておくと入り込むんだって。慌てて窓を閉める。

ところが猿も良く知っていて、屋久杉ランドの閉園時間を過ぎているようで、お客はもうこないと思って家へ帰ったらしく、見かけたのは数匹のみ。

3日目  8月18日(日)

天候が悪いので、山はお休み

早朝、すごい雷が来た。
音も無く突然閃光が
目をつぶったままで分かったくらい、 ピカーッと光った。
一瞬トランスに落ちたかと思った。

その後、雷鳴と雨。止んでしばらくするとまたゴロゴロと雨。
天候がよくないようなので、「今日は山は取りやめる」と申告。

ぐうたらして食事。
その後、山へ行かないならと、果樹園の案内、野菜畑の案内、そしてドライブ

海の周りにそって左回りに。
ガジュマル園・灯台・海水浴場…ここで少し海に入って魚を覗く。
う〜ん、久しぶり〜 海に入っている人間は涼しくて面白くて時間を忘れるが、外で待っている人間は暑くていやになってしまうと分かっているので早々に 切り上げて着替えをする。

松林の中で休憩。せっかくのアップルパイに少々カビ。とっばらって食べる。

突堤の先で車から降りて魚を見下ろす。良い漁場なんだろう。釣り人もいる。

朝の雷で、電話も電気も切れたままなので、公衆電話から問い合わせ。
「電話は雷にやられ、電気は電線には異常ない」とのこと。

後で、自動的に切れたらしく紐を引つ張ればいいと分かった。

電気がきてなければ食事の用意も不便だということで外で食事に決まる。
一度家へ帰ってシャワーを浴びて出発。
味も良くて値打ちということだったがまあ、まあ。

4日目  8月19日(月)

モッチョム岳へ 時間切れで引き返し

朝、天候が良さそうなので、急遽、山へ行くことに決定。モツチヨム岳へ。

往復4時間半とあるので軽い軽いと考えたが後で大違いと分かった。

残りのパンを貰ってバターとマーマレードを塗って食料の用意。 10分で駐車場へ。

千尋(せんぴろ)の滝はすぐそこ。∨字型の峡谷に流れ込むナイアガラの滝風の瀑布。
水量が多ければ壮観だろう。

登山口へ戻ろうとすると、子供会の大団体。
もしかして登山?と思ったら滝見物だけのよう。良かった。
小学生の集団登山ということが頭にあっての質問だったが、そんなことは不可能なことだと後で分かる。 8:50発。

滝の音が右側から聞こえる。
水の取り入れ口の滑り台のような川を渡り、いよいよ登りに入る。
暑い中、急登はえらい。
朝ご飯のらっきょうがおいしいのでついつい食べ過ぎたせいか、胃が重い。
9:20〜9:30、休憩。

花は無し。登り切ってたらたらの途中で休憩。暑くてえらくて50分持たない。

30分で休憩とする。10:00〜10:10。

しばらく行くと水の流れる場所。ここで休めばよかった。
通り過ぎてまたまた登りに入る。
樹林の中なので風も通さず汗がぽたぽた落ちる。

急登を登り切って万代杉。10:35〜10:45。

    

出発してから1時間45分。実質でも1 時間25分。
地図では登り全部で計2時間とあるが何が何が。

地図を見るとここまでで、全行程の半分にもなっていない。

3人の若者が休んでいる(帰りのフェリーでまた出会って声を掛けられた)。

見上げるような大きな大きな太い杉。節くれだって、人がすっぽり入るほどの穴もあ いている。
記念写真をお互いに撮り合う。

若者はここまで。我々はもっと 先へ進む。

「気をつけて」という声を背中で聞き出発。

フェリー乗り場で「あれから1時間だったんでしょう?」と尋ねられ、やっぱり誰もがそう思い込まされているな・・・と分かった。

遭難騒ぎがあるのも、コースタイムに問題があると思う。
ここからは歩きにくい道となる。
右側からずっと滝の音、千尋の滝としては位置が違うが、何の音だろう。

薄暗い水場で休憩。11:15〜11:25。
周りはうっそうとして心細くなるほど。

またまた登りが続く。
途中でファミリーに出会った。「思ったより歩きでがあり ますね」と声を掛けられ本当にそのとおりだと思う。
父親だけがザックを背負い、 他は手ぶら。

緑の帽子を落としたことを話して「そのまま置いておいてくださいね」と頼む。

稜線に出てさあ、もう少しで頂上かと思ったが、先を見ると急な下り。

雨もぱらぱら降ってきた。
同行者は、「気分が落ち込む」と言う。そして足が遅くなる。
後ろの同行者を待ちながら待ちながら先へ進むが、後から来ないので一人で先を急ぐ。

下って登って、下って登って、何度も今度こそ頂上かと思う期待が外れる。

ヤッホーと声を掛けるとヤッホーと返ってくる声も聞こえなくなってしまった。

辺りはガスの中で先が見えずどこまで行ったら最後の頂上なのか見極めがつかず疲れが出る。

時間も13:00となり、時間切れ。引き返すことにする。

ヤッホーを繰り返しながら戻っていく。
尾根に出ると聞こえる。 合流

「ちょっと上がった所に白い花がある」と教えられたのでザックを置いて見に行く。
なるほど、始めてみた花。白い。ランの仲間らしい。

14:05、水場で休憩。谷川の水でミルクを作る。14:15発。

15:00〜15:10、下の水場。

15:50、登山口着。ロングスパッツを洗って待つ。

地図のコースタイムがあっていれば、頂上でも滝壷でもゆっくりできたはずなのに、ぎりぎりに到着。

ぴったり16:00にお迎えの車。そのまま海へ。服のままジャボ〜ン。

水中眼鏡を貸してもらって魚を見る。やっぱり岩が好きらしい。

同行者にも勧める。
この水中眼鏡は潜水用だとか。全然水が入ってこなくて快適。
浮き輪も買ってもらい、つかまってぷっかり浮きながら、水中のきれいな魚を見るのは楽しい。

また時間を忘れる。
ちょうど潮が引いていた頃だったので向こうの岩まで全部足が届く。

曖かくて本当に「温水プール」のような所。
だんだん潮が満ちはじめると、冷たい水が足元から入ってくる。

「左の岩の方へ おいで」と誘われついていくと、コバルトブルーの魚や黄色いアナゴがいる。
黒白の縦縞も(オヤピッチヤ)、ベラ、透き通った細長いの・・・などなどいろいろいて飽きない

が、冷たい水が入ってくることと、日が沈んだので寒くなり陸へ上がる。

シャワー場所は既に鍵がかかっていてダメ。
仕方なく、体を拭いてそのまま乾いた服を着る。そして車で帰る。

5日目  8月20日(火)

屋久島から出るのは、予約がないと大変

同行者は勤務の関係で帰りの便の予約が取ってある。
しかし、私はもう少し長居しようとも思っていたので予約無し。

しかし、私も帰りたくなった。
お盆がすんで、飛行機もトッピーも大丈夫だろうとも思っていたが電話では空きは無し

キャンセルが出るかもと思い、11:00前に家を出る。

予約待ち30番では無理。フェリーにする。

12:05の同行者の出航が終わったら「もう良いから」といって帰ってもらい待合室で待っていると、走って「屋久島の植物」を持ってきてくれた。
これが欲しかったのよ! 嬉しいな!

13:20、フェリー乗船。出航。¥3900。
タクシーでバスセンターへ。キャンセル無し。またタクシーで西鹿児島駅へ。

分厚い時刻表をめくって特急、新幹線を乗り継いで名古屋までの乗車券を買う。

鹿児島本線と日豊本線のちがいも知らず、どちらが近道かも知らずにいた・・・

西鹿児島駅、18:50発。宮崎駅、20:59着〜23:30発。駅のベンチで仮眠

小倉駅、5:35着。新幹線に乗り換え、6:19発。名古屋駅、10:16着。
合計¥21830 円

時刻表を買い、いったいどうすると一番早く行けて安かったのか研究
それほど 馬鹿な買い方ではなかったことが判明。
後は眠って眠って名古屋に到着。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私なりに、屋久島の自然をまとめてみた

地質:屋久島花崗岩 

岩の中に硬い石が入っていて(正長石の結晶)、周りが砕けてもその石 だけはしっかり残っている岩のこと。

花崗岩は風化して砂礫化しやすいが、この結晶だけは角型で棒状の形のまま残るのだとか。

また、この花崗岩は雨により侵食されやすく、平らな所では川床にきれいな砂をためたり(大雨が降っても川が濁ることはないとか)、河口や周辺の海では、それはそれはきれいな砂浜を作っっていた。

島の住民自体数が少ないことと、観光客そのものの数も少ないこともあって、 砂浜にはゴミも無く、貝殻一つなく(きれいすぎて貝も生活できないとか)、海辺特有の生臭い潮の匂いというか海の匂いも無く、さらさらしたきれいな砂浜だった。


気象:雲霧帯・雨が多い  

南国の太陽は島を取り巻く黒潮の海を熱して、激しい上昇気流を生み出し、 その暖かい湿った空気は島の山肌を登り、標高500m以上の森林帯をすっぽり包 み込んでいる。
つまり雲霧帯といわれるほど、1年をとおして雨が多く霧の流れる森林を作っているわけ。

屋久島にいた5日間、海岸付近は晴れていても、山の上はいつも雲の中
お陰で宮之浦岳がどんな形をしているのかも分からず、稜線の形も分からない登山になってしまった。

でも、この空中湿度の高いお陰で、幹を覆う苔類や樹皮はたっぷりと水分を含み、樹木の種子の発芽に貢献し、着生(樹の上に樹が育つ現象)がしやすくなる とか。

海上に衝立のように立っている屋久島の山肌を登った上昇気流は10000m を越す積乱雲をつくり、1時間に100ミリ程の雨を降らせることがあるとか。

宮之浦岳からの下り、すごい雨に遭った。
それまでは、しとしと降ったり 止んだり晴れ間が少しのぞいたりというような天候だったが、急にざーっと降り出すと、みるみるまに登山道は川となり、小川は深さをまし、泥で汚れ ていた雨具は洗濯したようにきれいさっぱりとなり、ロングスパッツをつけていた登山靴の中にもどんどん雨が流れ込み、足指が水の中で泳いでいる状態になってしまった。

「毎日雨が降る」と、姉が言っていたが、本当。
1日のうちどこかで降っている。

岬一つ回ると雨、川一つ渡ると晴れといった具合。
また、いくら天気がよいといっても、洗濯物を屋根の下からは出さないと。
すぐそばの果樹園に出かける時にも。

急にざ一っと降り、またさっと上がる・・・ということは日常茶飯事のことだから。

「月に35日雨が降る」という話をガイドブックで読んだが、こんな降りかた。

姉の家では、水は谷川から引いていて、どんな時でも涸れることはないと。
飲み水も、洗面も、風呂も、果樹園の水やりも全部谷水

「O(オー)157」騒ぎの最中に屋久島へ出かけたので、生水には少々気後れがしたが、家の蛇口からも飲んだし、山の谷川の水も飲んだけれども大丈夫だった。

山でも水で困ることはなく、どこでも手に入った。

モッチヨム岳登山口にある千尋(せんぴろ)の滝は、ナイアガラの瀑布風で、「今日は水量が少ない」と言っていましたが充分見ごたえがあった。

特有の植物とその分布  

亜熱帯気候の海岸の亜熱帯植生から、1936mの亜寒帯植生まで垂直分布が見られる。

● 海岸近く

クワズイモ・・・大型のサトイモ科、2m程の大きさになる。ガジュマル園にたくさ んあった。いかにも南国風

へゴ・・・シダ植物だが、茎が樹の幹のように地上に出ている

ガジュマル・・・イチジク科、イチジクそっくりの小さな実がなっていた。屋久島が北限、気根がまるで樹の幹のように太く育っている

ハイビスカス・・・垣根に利用されている。植木鉢でしか見たことがなかったが、背丈ほどにたくましく育っていた

シマツユクサ・・・ここらのツユクサより葉っぱが狭い。花はそっくり。屋久島が北限

ウラジロフジウツギ・・・花が紫色、車の中から見た

タマシダ・・・農家に嫌われているが、いかにも南国的で良い.5〜6個賞ってきた が10月中旬現在まだ芽がでない

● 100mあたリから

照葉樹林(屋久島の西部一帯の照葉樹林は世界最大といわれ、世界遺産に指定 されている)
ヤクザルのすみか。観光客に慣れていて、車の窓を開けて走っていると入っ て来るとか。
観光客の行き来する時間帯は道路にいっぱいいると聞かされたが、私達が移動したのは朝早くと夕方だった ので数匹見かけただけ)

ノリウツギ・・・(南限

マルパフユイチゴ・・・フユイチゴの丸葉型

モロコシソウ・・・黄色い花が釣り下がっている、キイロツリバナかと思った

マルバキッコウハクマ・・・屋久島の固有変種だって。キッコウハグマの丸葉型

ヤクシマアジサイ・・・北限、葉っぱが細長いアジサイ

ハシカンボク・・・宮之浦からの帰り、車の中からたくさん見た桃色のかわいい花、北限

ホウロクイチゴ・・・とにかく大きな葉っぱのイチゴ

● 500mあたりから…針広混交樹林(針葉樹と広葉樹が交じり合っている

屋久杉・・・標高800m〜1700m付近に生えている。
今残っている屋久杉は、真っ 直ぐ伸びなかったために利用価値が無く、そのため切られることなく 今に残っているといわれている。
屋久杉には「着生」といって、樹の上に樹が育つ現象がよく見られる。
「紀元杉」を見に行ったところ、ヤクシマシヤクナゲ、ヤクシマヒカゲツツジ、ナナカマド、ヤマゲルマなど10種類以上の樹が大きく育っていた。
屋久杉の上まであまりに大きく育ちすぎて日照を奪い、屋久杉を枯らして しまうこともあるとか

ヤクシマアザミ・・・トゲがいたいのなんの、種子島・屋久島だけに見られる固有種だって)

ヤクシマコオトギリ・・・オトギリソウの超ミニチュア版・固有変種だって。背の高さ約10センチほど

ノギラン・・・とっても背が低いのにちゃんと花を咲かせていた。本州のノギランとは同じと思えない。
ヤクシマノギランと命名してもいいくらい

ヒメカカラ・・・とっても痛いトゲがある木、手のひらに刺さっていて後で抜いた。屋久島が北限だって

ヤクシマママコナ・・・固有変種、ここらのママコナそっくり

ヤクシマホツツジ・・・ちょっと見には、普通のホツツジと変わりない。屋久島が 南限

マルバヤマシグレ・・・固有変種、ミヤマシグレかと思っていた。そっくり。

モウセンゴケ・・・南限

● 1500mあたりから

シヤクナンガンピ・・・ジンチョウゲそっくりの花。調べてみるとやっぱりジンチ ョウゲ科。屋久島の固有種

ヤクシマシオガマ・・・あれっ、変わったシオガマだなと思ったがやっぱり、屋久 島の固有種

ヤクシマフウロ・・・あれっ、大きな花のフウロだなあと患っていたら固有変種だって

イッスンキンカ・・・これまた背が低いのにちゃんと花を付けている。アキノキリ ンソウの小型版、固有種

ヤクシマチャボゼキショウ・・・イワゼキショウの小型版。固有変種

ツクシゼリ・・・ごくごく小さなセリ、屋久島が南限だって)

ヤクシマショウマ・・・固有変種、投石湿原の水が流れ落ちる所に咲いていた。 背の高さ、3センチほどの物でもちゃんと花を咲かせていた)

ヤクシマダケ・・・笹だが、集が小さい)

ヤクシマシヤクナゲ・・・残念だが季節ではないので花は見られず。固有変種。 つぼみの時赤色、開花後数日だけピンク、その後白色に変わる。
毎年、6月に町民登山の催しがあって黒味岳へ 登るとか。でも、その頃は私は仕事が休めない。


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