体力と気力充実の南アルプス大縦走
広河原〜光岳〜畑薙ダム
  (広河原〜間ノ岳〜塩見岳〜荒川岳〜赤石岳〜聖岳〜茶臼岳〜光岳〜畑薙ダム)


1・2日目 3・4日目 5・6日目 7・8日目 9・10日目


3日目・4日目(北岳山荘〜間ノ岳〜熊ノ平小屋〜塩見岳〜三伏峠小屋)

3日目 7月22日

北岳山荘〜間ノ岳〜熊ノ平小屋(泊)

富士山が見える。
朝焼けも。仙丈・甲斐駒も見える。

4:30、朝食。早く着いたので早い食事となる。

5:00発。雨具の上下をつけて。

間ノ岳までの道は実に花が多い楽しい道である。

     
     間ノ岳行く途中のお花畑             イワヒゲ

6:30、間ノ岳着。ガスが出てきて何も見えなくなった。
雨も降ってきたし風も強いので岩の陰で休憩。

和歌山から来た女性も休んでいる。「お互いに気をつけて」というと彼女は天候が悪いのでここから帰るという。ええっ〜。

私は右の道を取る。
左は農鳥へ行く道。

     
     チョウノスケソウ

ガスの中、初めてのルートへいよいよ入る。
頂上を外れると風が弱まり暖かく感じる。

たらたらをしばらく進んでいよいよガレ場の下りに入る。
そして岩稜地帯へ。

アップダウンを繰り返し、途中、ルートをはずし、たが、あれっ??と周りを見渡すと向こうの方に登山道。少し戻って登りかえす。

暑くなってきたし雨も止んだので雨具を脱ぐ。これで涼しくなった。

岩稜を登り切った所が三峰岳(みつみねだけ)、7:20〜7:35。

山友達に借りてきたドコモを試してみる が通じない

左下には延々と続くトラバース道が目に入る。
(どこからどこへ行く道?と思っていたその道を後で通ることになるとは・・・)

やせ岩稜とザレの下りに気をつけて三国平へ。

今日の小屋が下の方に見える。
このまま行けば8:30に小屋に着いてしまう。
余りにもあっけないので少し引き返し、農鳥への分岐のハイマツの蔭に荷物をデポして、(名札もつけて)農鳥に向かう。

行きに2時間、帰りに2時間なら丁度いい。

左を振り仰ぐとさっき通った三峰岳からの稜線。

正面の稜線を振り仰ぐと、間ノ岳から農鳥への稜線。
人影が小さく見える。

トラバース道は延々と山腹に続いている。

花の多い道!
ハクサンチドリ・ナナカマド・ミヤマキンポウゲ・ハクサンイチゲ・
ミヤマオダマキ・ハクサンフウロ・タカネグンナイフウロ・キバナシヤクナゲ・ツマ トリソウ・チングルマ
など。

岩を飛び越えていく道・右が急斜面の道・・・と変化に富んでいていい。
その上誰にも会わない静かな散歩道というのがまたまたいい。

水の音が聞こえ始めてからだいぶたってやっと水場に着、9:12。
お弁当を食べることにする。幕の内 弁当と豚汁。

ジリジリだが静かなひととき。十分満喫して9:40発。

  
    農鳥岳へへいこうと思ったが、雷と急なザレで止めて引き返す

相変わらずのトラバース。
右は落っこちたら助からない谷底。気をつけて歩く。

途中、そこだけ水が吹き出している水場が合ったが、「使うな」の赤ペンキ。なぜだろう??

何度もカープを曲がって、やっと農鳥の稜線と合流する登山道がはるか遠くに見える地点に着いた。

稜線までは急登。その上ザレザレときている。
うえ〜っ!、ああいう道は苦手。滑ったら止まらない斜面ばかり。

登りはいいとしても下りが嫌

不安がよぎって気力が失せていく。
天候もよくない。怪しい雲も出てき始めた。

遠くに雷のような音も聞こえるような気がする。や〜めた。で、引き返すことにする。10:10。

不思議な水場を通り越し、落っこちないように引き返す。水場10:40着。

黒い雲が出てきて雨がパラパラ。急がなくっちや…
しかし、それ以上は降らずにラッキー。
(その頃間ノ岳では雨が降ったらしく、雨具を着けて来た人がいた)

分岐に11:20。デポした荷物も無事。

小屋は見えていてもなかなか着かない。
小屋に荷物を置いてから農鳥へ散歩という気持ちにはならないほど下っていく。

  
   熊ノ平小屋手前で
  
三国平で 決断してよかった。

分岐から小屋までの道も花が多い
マルバダケプキ・ウサギギク・ミヤマアケボノ ソウ(ツボミ)・キソチドリ風のラン科の黄緑の花・アカバナなどを見ながら熊ノ平小屋に着
お花畑の奥にあるといった感じ、11:55着。

小屋の前にはテラスがあって、机と椅子が数脚。

手続きの後はいつものビール。
椅子に座って飲む。

先客の2人の女性は1時間もここで休んで、これから農鳥を目指すと いう。
へえ〜っ??

小屋のオーナーは話し好きらしく、さかんに話しかけている。

水場はトイレの上。ドードーと冷たい水が流れている。

お湯沸かしも顔洗いも歯磨きも気楽に出来る。

おなかが空いたのでお湯を沸かして牛乳を作り、パンを食べる。

テラスからは、農鳥が大きく見える。農鳥展望台といった所。

10日ぶりの晴れ間だという話を聞く。

小屋は2階が寝室。枕カバーがサービスで出る。

天気がいいので細引きを2階のテ ラスに渡してタオルを乾かす。
が、さっぱりとは乾かない。

小屋には2番についたが、後から続々と人が来る。

2階のテラスからも水場やトイレに行けるのが有り難い。

4時の気象情報を聞く。
天気図用紙の地名が新しい地名に変わっていて少々途惑う。

停滞前線が少し北へ移動したので今日の上天気となったらしいと分かる。

明日からの 行動が楽しみになる。

夕食は量が少なかったが、ごはんとみそ汁はお変わり自由なので、二つともお代わりを する。

4日目 7月23日

熊ノ平小屋〜塩見岳〜三伏峠小屋(泊)

5:08発。「できるだけ午前中に足を伸ばしなさい」というオーナーの忠告を聞く。

彼は私が光岳まで行くことを知っているから。
記念に一緒に写真に入ってもらった。

  
   出発前、熊の平小屋のオーナーと一緒に

上のテント場の中を通って樹林の登りに入る。
安部荒倉岳のピークもせっかくだからと覗いてくるが、1mばかりの小さな頂上
その間に2人パーティーに抜かれる。

単独行の男性は頂上を覗きに来た。(この3パーティーは三伏峠小屋まで付かず離れずで同じように行動することになった)

すぐ降りて、樹林の中をどんどん進む。
2人 パーティーにすぐ追いついてしまったのでお先にといって前へ出る。

6:12、小岩峰に出る。
遠くから登っている人を見た時は、あんな急な岩場を登るなんて・・・と思ったが、いざその場にくるとたいしたことはない。展望がいい!!。
でも、ドコモは通じない
6:22まで休憩。

目の前の谷をはさんだ向こう側の斜面に細長い滝が流れている。
「滝見台だ」の声が聞こえる。

3パーティーが揃った。

ハクサンシャクナゲがあちこちに咲いている。

ムシブンブンが飛んでいる。
虫も天気がいいと活動が活発になるんだ。

新蛇抜山はどこか分からず通過。

たらたらの道の次に登りがある。
先程の休憩から 1時間たったのでミヤマバイケイソウの原っぱで休むことにする。7:12〜7:25。

ハクサンチドリ・ヨツバシオガマもある。

後の2パーティーは先へ進む。

さあ、登りに入る。これがなかなかきつい。休んでおいてよかった。
登りの途中で 2人パーティーが休んでいる。どうやら一気には登れなかったらしいと分かる。

登り切った所に塩見がど〜んと辺りを威圧してそびえている。
すご〜い」思わず感嘆の声が口から出る。

    
    塩見岳への道  暑くてジリジリ         塩見岳へ続く稜線

しかし、風が強い。ビュービュー吹かれるので休憩無しで進む。

ここが北荒川岳の頂上とは気付かなかった。

右側はすごいガレ
左側の砂地にピンクの花が目につく。近くへ行くとイブキジャ コウソウの固まり。

稜線伝いには行けないので左へ少し降りて行く。と、小さな小屋。

後で調べると北荒川岳下の管理小屋と分かる。

ここから塩見の取っ付きまではい〜いお花畑
シロバナノヘビイチゴ・べニバナイチヤクソウ・トリカブト・マルバダケプキなどが目立つ。

  
    

そしてまた稜線に出る。
またまたでっかい塩見が眼前に迫る。8:15〜8:25、休憩。

ここで始めてドコモが通じた。自宅の電話番号はすぐプッシュできるので試してみるとルルルルル・・・という音。
留守電だったので、これから塩見に登ることを伝えて切り、すぐ留守宅にかけるがだめ
「圏外」の文字。
私がドコモを扱っているうちに2パーティーはずっと先に進んでいる。

風が強いの でいったんは雨具の上を着たがやっぱり暑いので脱ぐ。
この間にもっと離される。

一歩一歩に神経を行き渡らせて、右側のガレ歩きにくいザレ不安定な浮き石にも気をつけてゆっくりゆっくり登る。

最後の登りは下から見た直登のところ。

遠くで見るよりは登りやすかったがきつかった!!

尾根に9:20。
1時間の登りはさすがこ こだけだった。

塩見が登れたんだから・・・が、後の自信につながった。

先客は2人パーティー。
「きつかったですね」と声をかけると「死ぬかと思った!」 の返事が返ってきた。

展望のいいところで、おにぎりと卵スープで昼食。

目の前には、蝙蝠岳へ続く登山道が見える。
い〜い天気。9:35出発。

2人パーティーの後ろに付いて少し進むと「間違ったらしい」の声。
??と思って戻るがそれよりしっかりしたルートも見えない。
で、後に続く。
間違ってはいなくてショートカットだった。

イワオウギ・タカネシオガマ・シコタンハコべ・イワツメクサなどのお花畑を見ながら塩見岳東峰に着。10:10。

    
         塩見岳東峰で

頂上手前で追い越した2人パーティーと記念写真を撮り合って、次の西峰を目指す。

東峰の方が少々高い。10:18着。

  
    塩見岳西峰から東峰を振り返る

西峰には単独行の男性が先客。
ガスを使ってうどんを作っている女性もいるが、私はす ぐ下山。

後ろをくっついていくのはいやなので写真を撮りながら時間を稼ぐ。

下りは岩・岩で気をつけて下る。

塩見小屋の上の空き地で休憩。11:15〜11:25。おにぎりと豚汁で。
小屋よりここの方が展望がいい。

すぐに小屋への分岐だが、通過。

1人は早い。自分のペースですたすたと歩けばいいから。

後から単独行の男性が追いつく。
どうぞと先を譲るが、また彼が休んでいるときに追い越す。

分岐で左をとったが、一瞬間違えたかも?と思ったが、登りかえすのが嫌でしばらく彼を待つ。
だいぶたってから姿を見たので安心して先へ進む。

樹林の中をひたすら前へ前へと進む。

塩見の見える所で休憩していると、3パーティーがそろってしまった。

単独行の男性の「ここで半分」という言葉をつい信用してしまったのがいけない。

私の手書きの地図も途中で切れていたこともあって、あと1時間と思っていたのが間違い。

本谷山まであと1時間ということらしかった。 13:15、本谷山通過

大勢の人が休んでいる。ここからの下りはハクサンシヤクナゲが多い。

少し下った所で休憩、13:25〜13:35。

お花畑もなかなかいい。
ハクサンフウロ・キンバイソウ・クルマユリ・ツマトリソウ・タカネグンナイフウロなどが目立つ。

沢の傍に小さく小屋が見える。あそこまで降りるの?と、一瞬ぎょっとした。

三伏峠小屋と沢小屋の分岐を過ぎてもまだまだ着かない。

また登りがある。
これが三伏山か・・・と思いながら登る。

ゴール近くで登りが入るのはつらい
やっと小屋が見える尾根に出た。

   
     三伏峠小屋が見えた 真ん中上の赤い屋根

先客の単独行の男性達が休んでいる。
「もうこの景色とお別れですよ」と言われるが、私はまだまだ先があるのですぐに下る。

三伏峠小屋、14:20着。

この日だけ、計画より長くなった。
8時間30分の所9時間かかった。

きれいな小屋。すぐに手続きをする。
下はがらがらで2階へ案内される。
び っしりと布団が用意されていて、真ん中辺りを指示される。
布団1枚に1人でいいのだが、ザックを置く場所もない。

やむなく階段の傍に置くことにする。

布団の上に目印だけ置い て下へ行きビールを飲むことにする。
日差しが強いので階段の日陰に腰を下ろす。

飲み終わった頃、2人パーティーの到着。

水は箱の中に置いてあるペットボトルから自由に汲んでもいいことになっている。
自炊者のためには、下の小屋の蛇口から汲んでもいいらしい。
ラッキーと思ってその 小屋へ行くと、どうやら素泊まり用らしい。

小屋の人がいるので気楽に使えず、ペチャンコ水筒にいっぱい入れて戻る。

夕食はカレー・つけもの・らっきょう。
カレーなんて久しぶり。
食堂いっぱいで、狭 い所に向き合って一番奥に座る。
話しずきの中高年パーティーは今日入山したらしい。

いろいろ話しかけてくるので、ついつい「光小屋」までと言うと、
「入山届け出しているか」とか、「遅れた場合はどうするか」とか聞いてくるので「労山に入っていますから計画書も出しているし予備日も2日とってある」と答えなければならない。

ま だ始まったばかりの縦走。
「体力も気力も天候も3拍子整っていなければ縦走は出来ませんから・・・」といなしておく。

なぜ、他人のことをあれこれ詮索するのだろう。

ここのトイレは小屋の清潔さと正反対。
カンテラをともして歩いた樹林の中。
大きなボットントイレ、穴が掘ってあるだけ。

出た所には押上式手洗い用の水が数箇所ぶら下がっているのは親切だが・・・

注意書きが凄い
「トイレへごみを捨てた人は中へ入って取ってもらいます」とある。うへぇー

布団(マットレス)で横になっていると一時、カンテラが消え失せた。
が、ごそごそ探していたら、あった。

頭の上の人が布団を伸ばしたときについていったらしい。

左隣りの女性2人組は花の本を各自1冊ずつ持ってきてページを繰っている。
聞こえ てくる花の名前は今日全部見た

夕食が終わってから、外で明日の行動用の湯を沸かす

明日は長いのでポカリスエットにする。
残りのお湯はボトルに入れてでき上がり。

こんな時間になっても、1階はがらがらのまま。
ぎゅうぎゅうに2階へ詰めている。(翌日もあいていた)

着替えの部屋が快適だとうわさを聞き込んだので、下着を替える。

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