体力と気力充実の南アルプス大縦走
広河原〜光岳〜畑薙ダム
  (広河原〜間ノ岳〜塩見岳〜荒川岳〜赤石岳〜聖岳〜茶臼岳〜光岳〜畑薙ダム)


1・2日目 3・4日目 5・6日目 7・8日目 9・10日目


7日目・8日目(聖岳〜茶臼岳〜光岳避難小屋)

7日目 7月26日

百聞洞山ノ家〜聖岳〜聖平小屋(泊)

3:50起床、土間でお湯を沸かす。
朝焼けが美しいのでカメラを取りに行く。

  
   出発前の朝焼け

パッキングをして朝食、4:20。
目玉焼き・ほうれん草のバター妙め・みそ汁の中に大根、にんじんが入っている。
ごはんがおいしい。

5:00発。地図には載っていない急登の近道を通る。
滑って2〜3m落ちたという話を聞いているので要注意。

キバナシャクナゲのような黄色い花の大きな木が有る。(後で調べたらハクサンシャクナゲ、ピンクが入らないものも有るとか)

若者テントパーティーとテントの単独男性を追い越す。
いつものマイペースで歩い ているのだがどういう分けか追いついてしまう。

トリカブト畑(まだ咲き始め)とミヤマバイケイソウ畑が続く。

ピークの大沢岳分岐に5:35着。

目の前にどーんとこれから登っていく中盛丸山兎岳・聖岳が見える。

  
    中盛丸山への登り

休んでいる間に追い越される。が。また追い越してしまう。

後ろから「槍が見える!」の声で後ろを振り向くとな〜るほど、槍のとんがった先が遠くに見える。

およそ20〜30分の我慢でピークに立てると思ったが、ぴったしかんかん。
6:15 に中森丸山頂上に着く。
休んでいるパーティーもあるが、素通り。

下りもまたまた急
どんどん下ってまた次のピークが待っている

  
    中盛丸山を下って、今度は小兎岳への登り

次は小兎岳を目指す。

最低鞍部、6:33。 ピーク、6:55。

右側に恵那山によく似た山が見える:。
余りにも近い
が、北岳から見た時もあんな感じだったからきっとそうだと思いながら後で調べることにする(や っぱり恵那山だった。
近いんだねえ!!)それと赤い屋根の小屋も見える(これは大沢渡山荘らしい)。

小兎岳に7:12着。

  
        小兎岳を下って、今度は兎岳への登り

また下って登って今度が兎岳、7:45〜7:50。

    
      兎岳山頂             タカネビランジ

登りの途中でカップルを追い抜く。
彼らは途中休憩を取っているが、私はえらくてもハ一ハ一言いながらも登ってしまう・・・の違い。

タカネビランジが標識のすぐ傍に咲いている。白とピンクと

またまた下り。気をつけて岩ゴロゴロを下っていくと兎岳避難小屋
大きく赤ペン キで「ウサギ」と書いてある。

いよいよ聖岳への登り。縦走路がジグザグに見える。ガレのちょっと左寄りに。

  
      聖岳の登り

右側はざっくりとえぐられたような崩壊した危険地帯

    
    ハクサンシャクナゲ               ミネウスユキソウ

ハクサンシヤクナゲが多い。
そ して崩壊地には、遠目にも分かる空色の花。ミヤマムラサキがどっさりと、大きめの白い花・‥たぶんビランジだろう。
イワオウギ・イワツメクサ・イブキジャコウソウなどがくっついている。
あんな所が好きなのか・・・と不思議。

ガレている所は必ず観察をしながら、樹林の中のトラバース道を通る。

赤い岩の登りに入る。ピンクのカラマツソウや紅花のミヤマダイモンジソウに出会う。

やっとぐるりと回り込んで百聞洞山ノ家が見えてきた。

休憩、8:57〜9:05。ここから稜線を目指す
ジリジリと暑い日差し、一歩一歩慎重にを心掛ける。
何度も中高年とすれ違う。
頂上近くの緩やかな登りの途中で、妙な声を聞く。
何?と思いながら周りを見回す とライチョウの親子、どうやら子どもを呼ぶ声だったらしい。
しばらく観察してからまた歩き始める。

10:00、聖岳頂上着

  
     聖岳山頂

ザックが1つだけ置いてある。奥聖に行っているらしい。

ここで昼食にする。後は下るだけだから。
豚汁と牛乳を作って飲む。

弁当は鶏そぼろ弁当。薄焼き卵まで入っていて百聞洞の若おかみに感謝。

下から登ってきた人、奥聖から帰ってきた人で写真を振り合う。お互いに単独行。

まだ早い、奥聖まで散歩に出かける。10:35発。まさに、奥座敷
チングルマの群生もあるくぼんだ広い稜線。

  
   聖の奥座敷  チングルマがいっぱい

ピークには1パーティーがいたのですぐ引き返す。

赤石岳が大きく迫ってくる。

遠くの前聖頂上にたくさんの人影。11:10着。
大勢で賑わっている真ん中にあるザックを担いで即出発。

ジグザグのザレ道の急坂を膝をいたわりながら下る。

ザレ(ザク)に足を取られないよう注意。
ザクが終わった所でチョロチョロという水の音
右側、黒っぽい岩の斜面の隙間から染み出てくる音と分かる。

ほんの3mほどのトラバースと、1人が立っておられるほどの足場。
バンダナとタオルを水でぬらし頭と首を冷やしながら下る。

12:00〜12:05、深い谷を隔てて水が駆け下る音を聞きながら休憩。

チシマギキョウもこの辺りから咲き始める。傍らにハクサンシヤクナゲも。

    
    チシマギキョウ                   ハクサンシャクナゲ バックは聖岳


12:10、小聖岳通過。

     
  小聖岳から聖岳を振り返る

ジリジリの太陽とジグザグの道。

樹林帯に入るとあちこちにひづめの跡。文字どおり獣道が出来ている。

トリカブト くまだ、つぼみ)・マルバダケプキが多い。

聖平小屋と木道が見えるが、ぐるっと回り込んでいるらしくなかなか着かない。
12:35〜12:40。余りの暑さと喉の渇きで水飲み休憩とする。

荊畑の分岐の近くで、転び石に乗りつるっと転ぶ。が、ぱっと手をついて何事もなく終わる。
膝に疲れが出ているらしい。気をつけて足を出す。

アザミはなく、マルバダケプキとトリカブトが多い。
明日登る予定の山の稜線が見える。

  
      聖小屋手前のお花畑と明日登る山並み

ミヤマミミナグサ(花弁は2中裂し、裂片はさらに浅く裂ける)・ハクサンフウロ・ウメバチソウなどが咲いている。

  
    聖平小屋の赤い屋根が見える  明日登る稜線も

木道はあるが湿地ではない真ん中を通って、聖平小屋に13:15着。
きれいな小屋。応対もいい。
井川山岳会のシュラフ1枚を借りる。

1ブロックの中に7人。私はその最後の7人め。

足の早いおじさんは11時頃着いたとか。
なぜそんなに急ぐんです? 小屋で退屈するくらいなら頂上でゆっくりしてくればいいのに・・・と一口感想。

水場は、水道の蛇口1本のみ。
飲用以外は沢で」と注意書きがあるので、ビールを冷やして体も拭いて・・・と期待して行ってみると、チョロチョロの小さな水場

そこでは若者がパンツを洗っている。仕方ない、小屋へ戻る。(この蛇口の水で顔も洗い歯も磨きトイレから帰って手も洗いで重宝させてもらった)

しばらくすると、どやどやとうるさい団体が入ってきた。
男7人、女8人くらい。その中の男性群の声が大きい。
大部屋で静かにしていた雰囲気を平気で壊し我が物顔。
ちょっとは遠慮をしなさいよ、我が家でもなし、個室でもないんだから・・・といらいらする。

隣りの老夫婦が「あの人達山岳会だって」と言っているのを聞くと、山岳会の沽券に関わると思い、ついついいつもの癖が出てしまった。

リーダーはどなたですか?」 と聞くと近くの高年の男性を指差す。「リーダーさん、もっと静かにさせてくれませ んか。とくにこのコーナーの男性」と名指しで要請。

女性の「まだいいんじゃないの」という小さい声は無視。
いくら消燈前でも大部屋では節度というものが有る
まして、皆の前で平気でセクハラ発言をするオヤジの群れだもの。
大声なら外でやってほしい。

それ以後、少しは静かになったし、外へ出ていったようでもあるし、「しーっ」と言う制 止の声も聞こえたから「ま、いいか」

夕食はカレー、煮物少々,ゼリー。ごはんのお代わりは出来てもカレーのお変わり はなし。
お茶は、色付きのお湯。

トイレがひどい。
掘っ建て小屋のような薄汚い所で勿論ポットントイレ。
小屋からはるか離れている。

明日用のお茶を沸かす。

消燈前に隣りにうるさい団体の女性が入ってきた。すぐとなりで顔がくっつくほど。
くるりと反転して顔を土間の方に向ける。これでゆったり寝れる。

8日目 7月27日

聖平小屋〜茶目岳〜光小屋(泊)

3:00起床、星が出ている。
風が無い場所を探して小屋の蔭でお湯を沸かす。
4:30、朝食。4:45発。

足の早いおじさんの後ろ。

オサバグサ・マルバノイチヤクソウ(花冠は、やや赤味を帯びた白色)

沢の音を聞きながらピークへ。5:45。
ガス・小雨。雨具の上だけ着る。

1時間半で南岳とある。
右にガレを見ながら一歩一歩注意を払って足を出す。
どうやら頂上は通らずに通過したらしい。

ガレから少し下 ったトラバースの所に、種類の多いお花畑出現。
荒川岳の下りより面積は小さいがいろいろあって目を楽しませてくれる。

右斜面も左斜面も花・花・花
タカネナデシコ・シナノオトギリ・タカネマツムシソウ・タカネコウリンカ・トリカブトの仲間・エゾムカシヨモギ(キク科・ピンク)

時間が来たので休憩、6:45〜6:50。

展望がよければ場所を選べるのだが、ガスでは何もみえずどこでもかまわず休憩を取る。

すぐ分岐に着。7:00。大勢休んでいる。
天候がよければ縦走路が見えただろうが、 ガスで見えない。
左の斜面は見えるし、地図では上河内岳は縦走路の続きとなっていたのが勘違いのもと。

雨具のズボンも穿いて迷わず斜面を登っていくと、上から降りてくる人がいる。
「どこから来たんですか?」といつもの会話をすると「聖平か ら」の返事????と思うとあの足の早いおじさん。

上河内岳は縦走路から外れていて、縦走路はあの分岐の所を真っ直ぐに行くのだと聞かされる。そうだったのか!!

後について戻る。

7:10分岐着。標識を確認したのに字が薄れてみえなかったことと、標識の前に座り込んでいるパーティーがいたのでじろじろ見るのを遠慮したのが原因。

おじさんはさかんに「30分損をした」といって悔しがっていたが「ピークハントできたと思えばいいじやないですか」と慰める。

私だって、天候が良かったら登ってもいいけれど何しろこの悪天候、それに今日の行程は長いので損した気分になってしまった。
私は10分のロス。

茶臼岳へ向かう。たらたらの道。7:25、両側に大きな石が立っている「武内門」。

7:35、「お花畑」、それほどの名前のつく場所ではないのに・・・
天然記念物「亀甲状土」は、ガスの中、気なしに通り過ぎてしまう。

途中で拾った日差しよけの部品、てっきり前のパーティーかと思い後を追って聞いてみたが「違う」とのこと。(やむなく希望峰まで持っていって標識にかけておいた)

茶臼小屋への分岐、8:05。
タカバラを見ながら頂上へ、8:20〜8:30。
大きな岩がゴ ロゴロしている。
雨の中立ったままで行動食を口に入れる。

さあ、下り。
仁田池を通り過ぎ(キャンプ禁止の立て札あり)ヌタ場(獣の足跡が いっぱい)を過ぎ、薄暗い樹林の中を歩く。

昨日までの山歩きとは大きくかけ離れている。
森林限界を越えないのでいつまでたっても樹林帯の中。

希望峰、9:07通過。
何の変哲もないただの平地
仁田岳の分岐
でもあるが、この天 候行っても無駄と諦める。

急な下りの途中で休憩、ザックを降ろす所を選んで(どろぐちやではない所を)置く。9:20〜9:25。

倒木が多い。 ミヤマバイケイソウの群生が白い虫に食い荒らされ、見る影もない所を通過。
登山道にも這い回っていてくっつかないか気色が悪い

林床にはシダがぎっしり、花はシナノオトギリ・イチヤクソウ・ゴゼンタチバナくらい。

10:25〜10:30、木の下で雨を避けて休憩。

10:40、易老岳通過。ここもただの平地

ここから2時間半で光小屋。
山友達がいるとすればこの道かな?と思いながら先を急ぐ。

小さな小さなコイチョウランを見つける。オサバグサは種になりかけている。
シダとどろぐちゃの道をどんどん下る。
水たまりがあちこちに。避けて通れない大きな水たまりも有る。

11:50、休憩。三吉平のあたりで。「光小屋まで1時間半」とある標識のちょっと先。

ここから登りに入る・・・と思って気を引き締める。
やっぱりシダがいっぱい。サンリン ソウを見つける。

滑りやすい岩・岩の道を登る。
静高平の水場には水無し
木道が出てきてやっと小屋に近づいたかと一息つく。

木道を過ぎてもまだ登りがある。
新しい小屋が見えた。ぐるっと左に回って光小屋到着。 13:10。

小屋のなかにはストーブが炊いてある。ま
ずザックと雨具の水切りを勧められる。1人1本のハンガーでは乾かないよね。

宿泊の手続きとお酒も貨う。
ここのお酒はビッグで値段は同じのお買い得。
足の早いおじさんも勿論着いている。
速く歩いて小屋で退屈なんてね〜

食堂でガスを沸かしてもいいと言われたので、窓の傍の鉄板のはってある低い台が それ。
自炊者には有り難い配慮。

熱欄とチーズと五目豆で一休み。
まだおなかが空い ているので、長い行程持ち上げてきた五目御飯を食べることにする。

お湯を沸かし、 1人分の乾燥米と豚汁、わかめスープまでおなかに入れる。
17時の夕食まで長いからね。

水は大きなタンク2つにに入っていて、レバーを押すと出るしくみ。ありがたく利用させてもらった。

トイレは有名なバイオチップ。1番手前のトイレだけは昼間も常時使える浄化槽用。
後ろの3つがバイオ。

今回の山小屋のあちこちに印刷物がはってあった
それと年齢制限と午後3時までについた人のみという時間制限も。

トイレは清潔が一番。臭くなくて安全処理がしてあれば言うこと無し。

布団の替わりに、ぶあついシュラフを借りる。クッションがいい。
夜、冷え込んだときはファスナーを開け中に潜り込んだ。

夕食はうわさに聞いていた天ぷら。野菜とフキの葉。
ごはんのお替わりはOKだがみそ汁はなし。
お茶はおいしかった。

2階が空いていたので雨具など乾かしたいものは2階の手すりにかけた。
ストーブの熱は上へ行くから。

帰途、易老渡へ下り、タクシーを使ってJRの駅まで行く人数を募集していたが、 もしかして山友達がお迎え登山に来てくれるかもしれないので「考えます」とい って断る。

しかし、それもいい方法だね。
伊那から中津川までバスは出ているし・・・

この小屋で一緒だった3人組とまた横窪沢で一緒になるとは・・・

夕方、散歩に出ると、1日中ガスで展望がきかなかったのに、さあ〜〜っとガスが 晴れ、いっとき周りが見え始めた。
すご〜い。
樹林の中ばかり歩いていたがけっこうここは高い所にあるんだと分かった。

ガスが右手から左手へとすごい速さで流れ、また見えなくなってしまった。

  
   やっと見えた山並み  光小屋の展望台から


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