スリルのある東鎌尾根 燕〜槍ヶ岳
                               (中房〜燕〜槍〜槍平)




槍から下りて来たら
すっかり晴れ上がった


●場 所 長野県南安曇郡穂高町
●標高 燕岳2762、9m  槍ヶ岳3179、5m
●山行日 2002年8月23日〜25日
●コース 中房〜合戦小屋〜燕山荘〜大天井ヒュッテ〜水俣乗越〜槍ヶ岳山荘〜槍ヶ岳〜槍平小屋〜新穂高温泉
●多治見から
    登山口まで
多治見IC=豊科IC=中房温泉
※ー鉄道 =自動車 ・・・徒歩 ⇒バス
●参加者 丹羽 平野 中原 
●コースタイム 1日目
多治見発
中房温泉
燕山荘
大天井ヒュッテ

4:00
7:15〜7:30
11:35〜12:25
15:40

2日目
大天井ヒュッテ 
ヒュッテ西岳 
槍ヶ岳山荘

6:10発
8:20〜8:30
12:15

3日目
槍ヶ岳山荘
槍平小屋
新穂高

 6:10発〜山頂〜7:35
10:25〜10:40
14:00

1日目 8月23日
始めへ 1日目 2日目 3日目

登山口まで送ってもらった〜
 
夜行列車にするか車にするか?夜行での疲れや早朝発の疲れなどを考え、
いろいろ迷っていると平野秀さんから「送っていってあげる」という嬉しい申し出
1泊目の大天井ヒュッテは、自炊し、2泊目の槍岳山荘は小屋の食事にしようと思ったが、
よく考えれば朝は自由な時間にできる自炊がいいの
で私が用意することにして、他は平野さんが用意することに決める。

4:00多治見駅裏発。

中房温泉には7:15着。
 
登山口に近い駐車場は温泉客用のみ。平野秀さんは有明荘で温泉に入っていくと。
ありがとー。気をつけて帰ってくださいね。

 
体力温存で槍へ登ろう〜

7:30発。これでここは何回目だろう。感慨深い。

8:04、第1ベンチ。水場を勧めるが、中原さんは体力温存と言って休憩のみ。
平野さんと2人で降りる。冷たい水がおいしい。8:10発。

8:35、第2ベンチ。さっき休んだばかりだが、せっかくだからと5分間休む。8:40発。

第3ベンチ、9:08〜9:15休憩。
ここから急になるのでしっかり休んでおく。フランスから持ってきた行動食を紹介する。

富士見ベンチ、9:45〜9:55。30分ごとの休憩は楽だねえ。


合戦小屋に10:20〜10:30。スイカを横目で見て我慢する。

ここから合戦の頭までの間にクロウスゴがびっしりついた木を平野さんが発見。
しばらくお猿になったつもりでビタミンCを食べる。

合戦の頭で幸運にも槍が見えた。
もしかするとこれが最後になるかもといって記念撮影を勧める。
燕山荘も燕岳もばっちり見える。雨を覚悟してきたわりにはいい天気。

ここからお花畑の名残があちこちに出てきた。
一気に燕山荘までいけなくて途中の展望台で休憩、11:20〜11:25。

無雪期は小屋の下を右へ回りこんで行くのかあ〜と、
4月のルートを思い出しながらテント場へ上がる。
頂上を目指そうと誘うが中原さんはここでも
体力温存
といって気乗りしないよう。

11:35、渋る平野さんも強引に誘って頂上へ向かうが、
半ばほどの所で中原さんは「もうここでいいです」とストップするので
、結局3人とも登頂は止める。コマクサがほんの少々残っていた。


明日の槍登頂を控え
体力温存のために
燕の手前で引き返した

燕山荘前の広場で



 
まだまだいっぱいのコマクサ

燕山荘に引き返して休憩。12:25発。
ここからは稜線歩き。白っぽい砂のような斜面には
いつでもどこでもコマクサが咲いていた。
軽いアップダウンの道を進んで、2678mから大下りなので一息入れるため休憩、
13:15〜13:20。
大下りとは言うもののざっと見て下り15分、登りに15〜20分とふむ。

予想通り鞍部に15分後、そこからの登りは稜線へ出ず回り込むので20分以上となった。
我々を追い越した若者が休んでいる所を追い越し、今度は反対側への回りこみとなる。
まだ花がたくさん残っているお花畑を通り2699のピークへ。

14:15、トラバースの途中で休憩。
ここの白い斜面にも小さなコマクサが咲いていた。
前方は暗〜い雲が空を覆っている。
だんだんガスが出てきてあたりは真っ白。ぽつぽつっと雨模様。

 
ホントなら槍見コースなのに・・・

切通岩を梯子で下って常念への分岐に出る。
ここから40分で今日の宿の大天井ヒュッテ。

なら、大天井岳まで行こうかと誘う。中原さんは体力温存。平野さんと出かける。
近道でいけると思い込んでいたのが間違い
大天井は大天荘からしか登れないことを知らずどんどん前進してしまった。
よくみておけばよかったなあ・・・。
20分前進してもなんら変化がないので帰ることにした。あ〜あ。

ザックを背負い、大天井ヒュッテへ。
岩礫地のトラバースや鎖のある足場の悪い道がたらたらと登っていく。
足も疲れてきて、まだかまだかと思ううちやっとガスの中に
ぼうーっと赤い屋根
が見えた。15:40着。
中原さんは20分前に着いて既に手続きを済ましておいてくれた。

今日は15人くらいの泊り客だという。
予約の人を下の段に確保してあるので我々は上の段。
上りにくいが仕方がない。
乾燥室にザックを置きまずはビール(500円)を食堂で飲む。
少したつと「食事の用意をするから」と追い出されたので談話室へ。
男性の先客3名。彼らはそれぞれが単独行。

ガスは玄関先か、或いは6時からなら食堂でもいいとのこと。
テルモスのお湯を乾燥米とマッシュポテトに入れ時間稼ぎをする。
お湯だけでも先に沸かそうかと水を貰いに行くが食堂は立ち入り禁止。

そうこうするうちに夕食の時間。
ガスのセットでもしておこうと玄関先で用意していると「食堂を使っていいよ」との声。
ありがとー。お客が少ないからなのね。

早速準備をする。2人とも慣れた手つきで準備。
ソーセージとにんにくの芽とサラダとマーボー春雨と白ご飯が献立。
おいしいね〜。ビールを飲みながらの食事つくりはいいね〜。
でも、私は2本目が全部入りきらず平野さんに贈呈。

サラダもソーセージも当初の予定の4人分だったらしいので
余ってしまい明日の分に回す。
お腹いっぱいでお布団へ。1〜6までの番号を3人で使う。
つまり布団1枚一人で使えるわけ。シュラフカバーにもぐり就寝。
多分6時頃。

2日目 8月24日(土)
始めへ 1日目 2日目 3日目

しとしと雨とガスの中を歩いて・・・

夜中、風が止みもしかすると満天の星か?と起きてカーテンを開けるほど。
周りの景色もばっちり見え、天候が悪くなるというのは間違いだったのか・・・と思ったほど。
しかし、朝起きてみれば真っ白のガス
風も出ている。外のテーブルは濡れている。

4:50起床。5時の朝食と同時に食堂へ入り用意。
まずは乾燥米にお湯を注ぎ、後はお湯を沸かせばそれでよし。
ソーセージも卵も食べきれず放棄する。
この分では今日の槍岳山荘も自炊ができそう。

6:10発。ヘルメットをかぶっているパーティーがいた。
後から分かったが北鎌尾根を貧乏沢から登る人達らしい。
ガイドブックでは途中でビバークせずに登れるルートがここからだとあった。
ふーん、いいねえ〜。

雨はそれ程でもなくまあまあの空模様
朝食をしっかりとらなかったせいか、足が重い。30分たった所でみかんとコーヒーを飲む。
おいしい。これで元気が出た。

たらたらの道を、本当なら槍を眺めながらの山行が、
展望もきかないガスの中の山行となってしまった。
しかし雨もそれ程強くはならずに、しとしと降りなのでまあまあいいか。

こんなにたらたらと横に行くばかりでいいのか?と思えるほどである。
赤岩岳への登りも稜線を通らないルートだし。お花畑のそばで休憩、7:30〜7:40。

ガスの日には雷鳥が出るとは本当なんだね。2回も見てしまった。
彼らも我々の前の登山道を歩いて行く。
丁度前から来た単独行の男性と挟み撃ちになってしまい、
バサバサッと大きな羽音をたてて飛んでいってしまった。

どんどん下りていくとエンジン音が聞こえてきた。ヒュッテ西岳に、8:20着。
ちょっと手前に頂上へ行く道があったが雨が強く降っていたので止める。
ヒュッテの中へ入るには「ザックを外へ置き、雨具を脱いで」と書いてあるので
軒先で休憩する。8:30発。

東鎌尾根は面白い

ここからは梯子や鎖が何度も出てきた。
鉄の梯子・丸太の梯子など色々あるが、一歩一歩しっかりたどっていけば
何とかなるものである。

ニセ乗越とはよくもつけたり。ほっと安心しやすいからであろう。
本物はまだまだその先。やせ尾根を通り岩稜帯を通り水俣乗越へ。9:20〜9:30。

ここからは登り基調。鎖場・梯子が続きそうなので梯子の下で休憩、10:20〜10:30。

ずっと向こうの山のてっぺんに黄色い雨具が2人分見えるなあ・・・
と思って見ていたところに着いてみると、これが丸太の梯子。
傾斜が急なら手を使って登るが、傾斜がゆるい梯子
手を使うとザックの重みで押され苦しい。
最後の方では立ってストックを使って登ることにした。

次に今度は長ーい長ーい鉄梯子を下りる。
98年の地震で崩壊した登山道を新たに作ったとガイドブックにはある。
大変な苦労のあとである。
風で飛ばされたのか帽子などがあちこちに落ちているのが見下ろせる。
 
たらたら道でお腹がすいたと中原さん、休憩する。10:50〜11:00。

ヒュッテ大槍は稜線の下。降りて軒下で休憩。11:25〜11:40。

ここから30分で槍岳山荘。あと少し。
殺生ヒュッテへの分岐を過ぎ槍ヶ岳へ。
岩稜帯を通り、梯子を乗り越え稜線へ。
ガスが深く山荘が見えてもいいはずなのに何にも見えない。
槍ヶ岳はどっちなの?と聞かれ右側のはず・・・と答える。

ガスの中から一瞬槍が見えた!!

ほんの一瞬、大槍と小槍がガスの中から現れた。
疲れが吹き飛ぶ・・・」の声が出る。
槍沢への分岐を見て「あと3分」と声をかけるが
離れていたし風も強かったし聞こえたかどうか??

槍岳山荘、12:15着。靴の中はずぶぬれ。
平野さんは乾いているという。なぜ?この違いは?

中原さんは、夕食を小屋の食事で食べたいというが、
我々は食料が残っているから自炊でいいと主張する。
結局3人とも自炊にして手続きをしてもらう。

靴を脱ぐと足跡がべたべたとつくくらい濡れている。
新聞紙を破って靴の中にいれ、雨具を脱いで案内を待つ。
自炊組は奥の離れた薄暗い片隅。玄関の新しくきれいな様子とは大違い。
前回と同じ所で冬季小屋になる所。

乾燥室に雨具は持ち込めないという。
ではどこで?と聞くとそこらへんで・・・という返事。
ロープを張り渡してまずは濡れたものをかけて水切り。
乾燥室は満タンで場所が無いの情報も聞く。
昨日のタオルで水気を取り、上から下まで着替えると暖かくなり人心地がする。

お布団も昨日と同じ1枚に1人と余裕がある。

これから食事では早すぎるのでまずはビールを飲もうと玄関先に下りる。
玄関の右の喫茶コーナーは団体で満員。
階段の所に立つと温かい風が吹き上げてくる。
「何故ですか」?と聞くと、下は食堂だからという返事。
ふ〜ん、ではここに座り込んで宴会をすることにしよう。 
中原さんは温かいミルクを持ってきた。

 雨具などを丁寧にタオルでふいて乾燥させようと努力している女性がいた。
そうそう、あれをしておくと乾きが早いんだった。

飲み終わっても夕食にはまだ早い。昼寝をすることにしてシュラフカバーにもぐる。
やっぱりここの布団はジメっぽい。持ってきてよかった。おかげで暖かく眠れた。

3時のつもりが4時半に目がさめ、自炊場に行くと丁度テーブルが一つ空いていた。
隙間風で寒かったが。
残りものの乾燥米と煮豆・缶詰・漬物・味噌汁とまあまあの食べ物がそろった。
平野さんが買ってきた日本酒を暖かくして飲むと体が温まってきた。
彼女はもう1缶買ってきた。すごいね〜。元気の薬なんだね。
 
食べたら寝る。まだ7時前である。

一眠りしてから乾燥室を覗くと結構空いてきていて、上着・ズボン・雨具・帽子などを持ち込む。
「平野さん、中原さん」と呼ぶと中原さんだけが返事をした。
乾燥室の話をして持ち込むといいよと勧める。

3日目 8月25日(日)
始めへ 1日目 2日目 3日目

なんて幸運! 晴れてきた!!

夜中中、風が吹いて天候は良くないようで外を見る気にもならなかった。
4:45起床。自炊場のテーブルを確保しておいてから
乾燥米にお湯を入れ、またお湯を沸かす。
その間、シュラフカバーをたたんだり、コンタクトを入れたりあれこれこなす。

さあ、食事はできたが食欲が無い。
白いご飯を味噌汁の中にいれ、喉とおりをよくしたらもうそれで後が入らない。
温かいお茶はおいしい。

6時前、ガスっていても槍の頂上へは行くかと靴をはいていると外から歓声
ガスが晴れたかと出てみると、頂上を目指す色とりどりの人が列を作っていることが見えた。
頂上も見えた。よかったね〜。
6:10発。

人がいなければ15分ほどで登れる距離が、延々と続く人
頂上から降りてこない団体の為に、
登りと下りが別ルートになっていない梯子待ちで時間がかかり、
なんと戻ったのが7:35。
槍がこんなに時間がかかってこんなに簡単だったとはね〜〜〜〜。

お腹に少し入れてから8:05発。

テント場を抜けて下った所が飛騨乗越。


槍の頂上
梯子を上るのも順番待ちで
時間がかかる

 
夏の花と秋の花が同居

乗越からは火山礫のような石。
途中、ヨツバシオガマやトリカブトが咲いているお花畑もところどころにあって
そこだけは気分がまぎれた。
千丈沢乗越から下る方法も良かったなあと
稜線沿いの道を見ながら反省した。

だんだん樹林が増えてくると展望がきかなくなってくるわ、
足元が石ゴロゴロで気をつけなければいけないわ、
下りばかりの同じようで面白くない風景だわ・・・で疲れた。

あんまりトリカブトがきれいなのでカメラ休憩、千丈沢乗越分岐の上で。

大喰沢の水場で9:40〜9:50。冷たくておいしい水

槍平山荘では若者が甲羅干し。アルバイトだそうな。
学生ら6人で切り盛りしていると。10:25〜10:40。
レモンティーもコーヒーも全部飲んでしまった。

まだまだ岩ゴロゴロの道が続く。そのうち右足の足指が豆ができたらしく痛くなってきた。
濡れた靴下のせいらしい。膝も痛くなってきた。 
岩ゴロゴロのところで休憩、11:40〜11:45。

白出沢を渡ったところからは林道、12:30。ここから1時間半で新穂高温泉。
両側からの木陰で涼しい道を痛む足をかばって歩く。
穂高平小屋から近道があるとあったので探すが道標はなし。
小屋の人に聞くと正面の細い道。
山道のアップダウンなので下りならともかく登りには使いたくない道
こんな近くで疲れることはないもんね。

新穂高に14:00着。温泉を先にしてビールを我慢する。
石鹸はあったし空いていてよかった。シャワーの出の悪い所があったが。
14:35のバスを見送り、食堂で瓶ビールとカツどんを頼む。
始めはおいしいがすぐ胸がつかえて飲めなくなるので口惜しい。

15:40のバスで高山へ。インターネットでは15:30になっていてJRへの乗り継ぎに余裕があったが、
10分遅れているわ、のろのろ運転だわではらはら。
もうワイドビュー飛騨には乗れないかと思っていたが1分あった。
改札はどこ・・・???と走って探したら反対方面へいってしまい時間をロスしたが、
走って乗車証明を貰って駆け込み。

これで一安心。
美濃加茂(きれいになっていた)で乗り換え多治見へ。


確認した花
ヤマハハコ タカネヤハズハハコ ゴマナ ミヤマアキノキリンソウ ウサギギク
横向きのアザミ クロトウヒレン タカネヨモギ ミヤマコウゾリナ イワギキョウ
ハクサンシャジン タカネマツムシソウ オオヒョウタンボク ミヤマママコナ コゴメグサ
ヨツバシオガマ エゾシオガマ ミソガワソウ ミヤマリンドウ オヤマリンドウ
トウヤクリンドウ ミヤマホツツジ アカモノ(実) シラタマノキ(実) コケモモ(実)
クロウスゴ(実) ゴゼンタチバナ(花と実) アカバナ オトギリソウ ハクサンフウロ
ミヤマダイコンソウ チングルマ(種) シモツケソウ オニシモツケ ナナカマド
イワツメクサ クロクモソウ ウメバチソウ サンカヨウ(実) モミジカラマツ
トリカブト オオレイジンソウ タカネナデシコ ウラジロタデ ムカゴトラノオ
クルマユリ タケシマラン(実) マイヅルソウ(実) キヌガサソウ エンレイソウ(実)


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