土石流があってもフクジュソウは咲いていた
   藤 原 岳 (坂本谷〜大貝戸)



まだ咲き始めたばかり

●場 所 三重県いなべ市藤原町
●標高 1140m
●山行日 2004年3月13日
●コース 西藤原駅・・・坂本谷・・・中電分岐・・・藤原山荘
・・・大貝戸・・・西藤原駅
●多治見から
 登山口まで
多治見ー名古屋ー富田ー西藤原・・・坂本谷登山口
※ー鉄道 =自動車 ・・・徒歩 ⇒バス
●参加者 丹羽  林 
●コースタイム 多治見駅
名古屋駅
近鉄富田駅
西藤原駅
坂本谷入り口
中電分岐
第2鉄塔
藤原山荘
大貝戸登山口
西藤原駅
6:56発
7:32着〜7:41発
8:09着〜8:21着
9:06着〜9:10発
9:35
12:00〜12:15
13:00
14:05
15:40
15:50着〜16:13発
地図はこちら


坂本谷の情報

土石流以来、通行禁止になっている坂本谷。

藤原町のホームページで
「フクジュソウとセツブンソウが咲き始めました」の言葉を見つけた。

あの谷の無残な姿がどう変わったのか
フクジュソウは無くなっていないのか
どうしても見届けたい

これで40回目ほどになる坂本谷詣で

しばらくこないうちに西藤原駅のトイレがきれいになっていた。

坂本谷入り口手前の民家の土手と庭を注意深く観察。
いつもここにはセツブンソウが咲いているから。
土手には数本。庭には種を蒔いたほどびっしり咲いている。

昔の道は堰堤工事でさえぎられ
ぐるっと回り込まなければいけなくなっている。

車が2台。同じ思いの人か?岐阜ナンバー(後で聞くと大垣の人だった)もある。
坂本谷はこれで通算40回程にもなる。

なんと大掛かりな工事!!

坂本谷入り口からは、広い舗装された工事用の道路を歩く。
今日は土曜日で仕事はお休みらしい。

大きな資材を運べるよう、上空にはワイヤーが張られている。
プレハブの作業小屋も斜面にできている。
1つめの堰堤は完成。2つ目の堰堤の先を現在工事中らしい。

その2つ目の堰堤まで、広い舗装された工事用の道路が続いている。
去年も同じ頃偵察に来ているが
その時の大きな岩ゴロゴロは皆、舗装された道路の下になってしまったらしい。

堰堤の先、ショベルカーが置かれているところを通り抜けると谷道になった。
以前の面影はさっぱりなし
岩屋の跡も右側にあった登山道もなんにもなし。

谷の両側は岩がむき出しになった斜面。
これからどんどん工事が進んでいくらしい。
赤ペンキで18・19・20というように番号が振ってある。


坂本谷はこんなに岩が多かったんだ!!

立ち入り禁止の谷を承知で入っている。
危険地帯はすばやく通り過ぎたい。

まるで岩トレのように、後から後から続く白っぽい岩を乗り越え乗り越え登っていく。
左から谷が入り込んでくる分岐は、少し昔の面影が残っていた。
左からの谷の様子と比べると
やはり坂本谷の方が土石流はひどかったようである。

安全な所で休憩

谷が形を変えていない昔どおりの顔をしたところで休憩を取る。
9:55〜10:05。
冷や汗と高い気温のため暑い暑い。


これから先が1番の危険地帯。
去年は確か「滝上岩壁」からは土石流の影響がなかったはずだから
そこまでを安全に通り抜ければ後は一安心・・・になるはず。

お猿のガレ場

そろそろ「滝上岩壁」か?
「お猿のガレ場」を通り過ぎた所が「滝上岩壁」。

「お猿のガレ場」とは、坂本谷で唯一ガレていた左側の斜面のこと。
ずっと以前、そこを通っていると上の方からガラガラ・・・・という音と落石があった。
ふと見上げると猿の姿が数匹。彼らが通ったので落石を起こしたらしい。
それ以来、我々の仲間のうちでは「お猿のガレ場」という名前で呼んでいた。

猿と言えば、これもずっと以前、単独で歩いていると
威嚇するような猿の声が近くで聞こえ、心細くなったことがある。
猿は、女性や子供、単独の人には居丈高になる・・・と聞いたことがある。

また、これもずっと以前、土地の人から
「猿が石を投げるが、大丈夫。猿の腕は肩からボールを投げるようには動かない。
ひじから投げているので当たりはしないよ。」・・・と。

トラバースしよう・・・

その「お猿のガレ場」は、なんとまあ・・・
以前より数倍も上から土砂が削られ生々しい土の色が表れて
見上げるようなガレ場に変わっている・・・・・。

これは・・・と絶句していると、先行の男性が右側の斜面に取り付き始めた。
谷を避けているのだと思い、我々もトラバースした方がいいかと考え
右の斜面に取り付いた


取り付いたはいいが、傾斜が急でトラバースできそうな所もない。
足元は不安定な石灰岩がゴロゴロしている。掴まって登る木も少ない。
後ろから来る林さんに「どうする?」と聞くと「引き返す」という。

トラバースは無理  尾根を目指す

2人の間は、だいぶ間が開いてしまっていて、
彼女の位置からは引き返せても
私の位置からの引き返しは、ずるずると落石を起こしながら滑り降りていかなければならない。


それならもっと上へ登ってトラバースしやすいところを探すか
いっそ、尾根を目指すか・・・と思いながら上へ上へ登っていくことにする。

足元には、可憐なセツブンソウフクジュソウがいっぱい咲いている。
踏みつけないように気をつけながら、
獣道(鹿の足跡があった)を利用しながら、尾根に到着。


尾根に着いた
いつも下山に使う山口への尾根は
ずっと向こうの方に見える



尾根道は鹿の糞がいっぱい

この尾根は、山口へ下山するときに使う尾根よりもずっと手前
坂本谷のすぐ右の尾根

このまま尾根を登っていけば山口からの尾根と一緒になり
中電の分岐へと進む。
そこで林さんとは会えるだろう・・・と思いながら緩い尾根道を登る。

人が入らないところは鹿の天国らしい。
あちこちに鹿の糞がある。

フクジュソウに会えた・・・

フクジュソウもあっちこっちに咲いていて
光を浴びてぱっと花びらを開いている。

後から林さんに聞くと、
「いつもの所にいっぱい咲いていたよ」・・・と。

やはり尾根より谷のほうが多かったらしい。
坂本谷のフクジュソウは残っていたんだ・・・と一安心。


尾根に咲いていたフクジュソウ
あちこちに黄色い色が見える



山口からの尾根との合流点
べたべたと赤ペンキが塗ってある

フクジュソウ観察には「木和田尾道」がいいかも

しばらく行くと、思ったとおり見覚えのある山口からの尾根に合流。
今はこの道のことを「木和田尾道」というらしい。
2002年度版の地図には載っている。

途中ですれ違った単独の男性に聞くと、
彼は「聖宝寺から来た」・・・と。
もう1人の単独の男性は、「木和田尾道」を往復して
坂本谷上部のフクジュソウを見てこれから下山する・・・と。

古い登山地図にはこの「木和田尾道」はついていなかった。
我々は「中電の見回り道」と呼んでいた山口へ下りる道で、
登山地図にも載っていなかった。

今では、山口よりもっと手前、養鱒場付近から入るようになったらしい

ぴったり相談したように分岐で合えた!!

分岐に近づくにつれ、雪が出てきた。
毎年、坂本谷でフクジュソウが見頃になっても
尾根へ出ると冬同然になることは分かっているので
今年も春と冬と両方が楽しめる・・・と嬉しくなる。


分岐に着いた。坂本谷のほうを見下ろすと
なんと!!林さんの姿がすぐそこに見える!!

分かれてからのお互いの情報を交換して、
休憩とする。12:00〜12:15。
風が強いので尾根からすこし下りた所で。


中電分岐の周りの景色
ここはまだまだ冬景色


白瀬峠はやめてショートカットで

ここからは何度も通った道。
第1鉄塔まではノー・アイゼンで。

第2鉄塔手前に急登があるので、アイゼンを着ける。
あちこちに鹿の足跡と糞。
縦走者が少ないので鹿も気軽に歩いているらしい

第2鉄塔、13:00。
ここから雪も多くなり、楽しいスノー・ハイクが楽しめる。

藤原山荘手前のフクジュソウはやっと数えるほど

天狗岩との分岐辺りにも素晴らしいフクジュソウ群生地があるが
まだまだ雪の下

木の根の周りの雪が溶けているので
もしかして・・・と期待して探すが・・・なし。

土が見えたところでアイゼンを脱ぐ。

山荘手前の稜線には、
地面に張り付いたようにして、咲き出したばかりの緑がかったフクジュソウが数本のみ。


山荘に、14:05着。大勢の人。すぐ通過。
この辺りのフクジュソウも咲き始めたばかり。
数も少ない。

8合目まではアイゼンがあると安心

山荘からの下りにまたアイゼンを着ける。
これで安心して足が出せる。

8合目の分岐までは、いつもなら冬道を下るが
今日は雪が少なくて地面が見えているので夏道のショートカットで。

8合目でアイゼンを外し
軽くなった足でどんどん追い抜いて下る。

ここはいつも泥道となる。
靴ブラシも持ってきているが、今日は乾いた道でありがたい。
どろどろ状態は、山荘の周りだけ。

大貝戸道もあちこちでショートカットして
どんどん下る。

いつも見慣れた杉林が、今日はなんとなく変??
白い石が杉の木のある斜面にゴロゴロしている。
林さんは「ここも土石流の影響ではないか」という。
そうかもしれない・・・と思えるほど洗ったような斜面になっている。

登山口に15:40着。
里はあちこちに梅の木が満開。


きれいな駅の横に水道。
トイレには「登山者は靴の泥を落としてから入るように」の注意書き。
ふ〜ん、ここで洗えということか・・・と思って持参の靴ブラシで泥を落とす。

缶ビールの自販機はないので、駅前のお店で350円で1缶買い(自販機なら230円なのに)
2人で分けて飲む。


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