雨とガスの中 白馬三山へ |
大雪渓で 白馬岳山頂 |
●場 所 | 長野県 | |||
●標高 | 白馬岳:2932m 白馬鑓ケ岳:2903m 杓子岳:2812m |
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●山行日 | 1994年8月20日~8月21日 | ||||
●コース | 猿倉(P)~白馬尻~大雪渓~村営頂上宿舎小屋(泊)~白馬岳往復~杓子岳~白馬鑓ケ岳~鑓温泉~猿倉(P) | ||||
●多治見から 登山口まで |
多治見=中央道で豊科IC=猿倉(P)へ ※ー鉄道 =自動車 ・・・徒歩 ⇒バス ⇔その他 |
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●参加者 | 丹羽、伊東、中山、中村、林 | ||||
●コースタイム | 1日目 8月20日(土)
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いつもの早朝発。4:05。 「あずさ」のSAで朝食。 これで2回目の大町への道。 「猿倉の駐車場は満車」の看板はあったが、「こんな早朝から?看板の出しっぱ なしとちがう?情報がそんなに早く来るはずがない」と判断して駐車場を目指す。 案の定、ガラ空き。 しかし、進入路まで車が止めてあるのは満車のときもあったという証拠。8:00着。 猿倉山荘でトイレを済まし、8:25発。 この時間、もうビールを飲んでいる人がいる。白馬尻からの下山者か。 身軽な観光客の間を縫っての林道歩き。 右手からは、ゴーゴーと川の音。仰ぎ見ると、これから登る大雪渓と白馬岳。 8:55、休憩。 まだ冷たい巨峰を口に入れる。「歩く冷蔵庫」さんのザックから。 今回、時間短縮を考えて、大休憩以外は、ナイフのいらないフルーツにしたとのこと。 林道終点から、やっと登山道に入る。 濡れた岩の道を登り、沢を越えて白馬尻着。9:25。 雪渓から吹き下ろす涼しい少し寒いくらいの風。 缶ビールを冷やしてある水もつめた~い。 寒がりのメンバーは、長袖を着込み、毛糸の帽子をおなかに挟む。 休憩には早いので通過。 少し登ると、大勢の登山者たちが休んだりアイゼンを着けたりしているガ ラガラの広場に出る。 ここから雪渓が始まっている。 下の方は一見「土か?」と思えるほどの汚い雪。上部は白く光っているが・・・ 9:50。 各自持ってきたのは、本格的アイゼンやしっかりした軽アイゼン、チェーンアイゼン、4本爪の軽アイゼンなど。 久し振りのアイゼンなので装着方法がイマイチ分からず、苦労するメンバーも。 同じ4本爪アイゼンでも、一本締めや引っ掛け式などがある。 引っ掛け式は外れやすく、皆で知恵を出し合う。 借りてきた人に聞いてくれば良かったと反省の言。 教訓=「久し振りの道具は必ず事前に試しておくと良い」 なんとか揆じって引っ掛けることで外れなくなった。 本格的アイゼンも外れはしないが緩め。出発、10:05。 大雪渓で 雪渓に足を下ろす。 アイゼンは良く利く。 スプーンカットの上の踏み跡を辿って行く。 左の方はロープが張ってある。その先に大きな穴。ゴーゴーと水が流れている。 右の方へ回り、登り始める。 足元に気をつかわなくていいので普通に歩くのと同じように足を進めていける。 登り始めてすぐガスが出てきて、どんどん濃くなり周りは真っ白。 元気なメンバーがどんどん行ってしまうがその姿さえ見えなくなるほど。 視界5mもないかと思われる。 踏み跡はしっかりしているので足跡の通りに足を入れ、1歩1歩登る。 時々後ろを振り返るとメンバー2人はぴったりくっついているので安心だが、もう1人の姿が確認できない。 元気なメンバーと一緒に前を歩いているのかな…と思い込んで、ひたすら前へ前へと進む。 周りが真っ白なのでいったいどこまで登ったのやらさっぱり分からず、ただただ足を前へ出すだけ。 途中の大岩のところで元気なメンバーが待っているので「もう1人は?」と聞くと「後ろ」とのことで、待つことにする。 すぐにガスの中から姿が現れる。休憩とする。10:40。 声だけで姿のない下山者と何度も擦れ違う。 休んでいると雨がばらばら。 雨具をすぐ取り出せるように用意し、当分は傘だけでいいだろうと判断。 と、雨のおかげか、周りが見え始めてきた。 緑の山。あちこちで雨具を着込 んでいる登山者。こんなにいたんだ!と思うほど。 さあ、出発。またまたガスの中に沈んでしまう。今度は揃って1列で登る。 黙々と登っていると、右の方の小高い丘に人影。 どうやら休んでいるらしい・・・ということは雪渓はここで終わり?もう?今年は雪渓が早くとけたから? 踏み跡もこの丘に登っていっているし、石の黄色いペンキもあるしで、なんだかあっけなく雪渓歩きは終了。11:10。 ガレガレは歩きにくいのでアイゼンを外す。 丘を登っていくとあちこちに人のかたまり。歩いている人より、休んでいる人ばかり。 その間を通り抜けていくとガスがだんだん晴れ出し、ずっと下の雪渓も、右側の山手のミソガワソウの紫も、ずーっと遠い山並みも、行く手の稜線も全部見えてきた。マルバギシギシとクロクモソウがどっさり。 「カメラ休憩してください」の声。 ウルップソウが咲いていたから。11:35休憩。 ウルップソウ この辺りが葱平(ねぶかっぴら)のはずだが、シロウマアサツキの姿なし。 稜線が間近に見え「40分くらいで行けそうだね」と話し合うが、それにしては時間が早すぎる。 予定では小屋へ14:30か15:00頃と思っていたから。 登山者の列を良く見ると、右へ回り込んでいるし、このコース経験者の記憶によれば、まだ岩室と小雪渓がないとのこと。 沢を渡ったところに、石をコンクリートで固めた岩室があった。 近くでは あちこちに登山者が休んでいる。 この沢、「飲料にはならない」と表示があった。 左下に雪渓を見、時々ガラガラと落石の音を聞きながら、ジグザグの道を登っていく。 遅れ気味のメンバーは、ギックリ腰をやったばかりだと後で分かった。 小雪渓の下で休憩。12:35。 ここからいよいよ「白馬岳のお花畑」。 両側にロープが張られ立ち入り禁止となっている。 「植生復元中」と立て札にある。 写真を撮りに入ったメンバーも、お尻を入れていたメンバーもしっかり監視されていて注意を受けた。 小屋の屋根が見える。今日の宿。もう少し。 小屋の下の水場で初見のムラサキシロウマリンドウ発見。(山小屋に置いてあった図鑑で判明) 村営頂上宿舎に14:00着。なんと! 生ビールを売っている。 小屋の手続きをする。「乗鞍」 左の2階、1畳に1人。 今日のうちに白馬岳頂上を踏んでいけば、明日の温泉に余裕ができるとの判断で、小雨の申、傘を差しながら登ることにする。 30分で白馬岳山頂。 白馬岳山頂 ガスで何 も見えず。今年もまた展望に恵まれない。 寒いし、おなかはすくしで早々に下山。15:25着。 まず、生ビール2本、まわし飲みで乾杯。 自炊の場所は、我々だけ。水はふんだんにあるし、広くて快適。 いつものマーボー野菜。それに勿論ビール。寒さに弱いメンバーは、おなかを考えて熱欄。 雨は降り続いている。 終りごろ、女性1人と男性数名がきたので交替する。 部屋に入って、いつもの差し入れの年代物の梅酒を飲んで寝る。 外から眩しい光。天気はよくなるかも。 夜中、いびきが激しく、24:00頃まで眠れない。
4:00を待って起床。 雨が降っているので小屋で朝食にする。 自炊場は、先客の女性群が終わったところでうまい具合。味噌汁とサラダ。 5:05発。 雨具上下と傘。それ程の雨足ではない。 稜線からテント場が見える。ガスの中からぼんやりと色とりどりのテント。 枯れたウルップソウばかりが目に付く。展望ゼロ。 コマクサを見ながらザレの道を下ったところで休憩。5:35。 暑いので雨具の上を脱ぐ。風もないのでちょうどいい。 少~し近くの山が見える程度の雨。 雪渓も分かる。 登山道は二手に分かれ、一方は杓子岳を右に巻いていってしまうので、頂上へ通じる道を探し ながらいくと、ガラガラの砕石の山に踏み跡があった。 急な登りも15分くらいとふんで1歩1歩ゆっくり足を前へ出す。6:20、杓子岳頂上着。 やはりガスと小雨で展望ゼロ。早々に下山。 次は白馬鑓。 花1本、草1本生えていない岩屑の道をトラバースし、登りへと掛かる。 ミヤマオダマキの種がよく目に付く。黒っぽいミヤマアケボノソウ、懐かしいリンネソウも。 白馬鑓山頂直下のお花畑(だった所)で休憩。7:15。 またジグザグの岩屑の道となり、白馬鑓ケ岳頂上着。7:30。途中、雷鳥にも出会う。 真っ白で何も見えないので通過する。 コマクサがちらほら。 分岐に7:45。ここから鑓温泉まで2時間とある。 少し下ると周りが明るくなる。ガスの下の部分になったからか。頂上はや っぱりガスの中。 ここが大出原(おいでっぱら)?。 高山植物が見事な所とあるが、今ではチングルマの名残とミヤマキンポウゲくらい。残念。 山はもう夏が終わっている。 大きな岩で休憩。雨具を脱ぐ。8:10。なんとなく、硫黄の臭いがする。 少し下ると、オヤマリンドウがたくさんあらわれ、ミヤマトリカブトも数が増えてくる。 それと、クロトウヒレン・タテヤマアザミ。どれも秋の花。 潅木帯に入っても花は続く。滑りやすい露岩帯には鎖が付いていて、足元に気をつけながら下る。 と、あの雪倉で見たカライトソウが雨にショボくれて咲いていた。 ちょうど時間なので岩の上で休憩。9:20。 鑓温泉の水源地を過ぎると小屋の屋根が見える。右には、スキーで滑れるくらいの長い雪渓。 しかし、大きな穴があちこちに開いているのでそれは無理。 タテヤマウツボグサの鮮やかな紫に迎えられて、鑓温泉着。9:50。 まだ3時間も下らなければならないが「記念のため」に入浴する。 湯は、うす青く白いもやもやが浮き沈みしている。 洗い桶も蛇口もない「準」野天風呂。 ドボンと入る。 ちょうどいい湯加減。 ドードーと流れ落ちる湯を肩からかぶりのんびりとつかる。 疲れが出ないようにと皆早々に出てしまう。仕方がない、私も出るか。 雨はまた降ってきた。傘を差して、10:30発。 薄青い湯はどんどん排水溝を流れていく。勿体ない。 お花畑の中を気分よく下り、鉄製のりっぱな橋を渡り、石にペンキで丸が付いているよく整備された道を緩く下っていく。 雪渓の状態によりルートがどんどん変更されるようで、「その点、石はあっちへ持っていきこっちへ持っていきで便利だね。それに必要無くなったら裏返しすればいいし」・・・と笑 いながら足を進める。 杓子沢の雪渓を渡り、ムラサキシロウマリンドウ・ミヤマココゴメグサ・ミヤマトリカブトの一杯さいているところで休憩。11:20。 こんなにたらたらでは下れないのではと思われるほどの平行移動。 小日向山の鞍部までは水平道とあるので仕方ないか。 やっと下りかけた所に湿原。休憩。12:15。キンコウカ・イワイチョウの名残があるのみ。 沢の傍には大型のミズバショウ・オオヒナノウスツボ・ミヤマトリカブト・エゾアジサイ(鮮やかな青紫色一宝石に例えれない美しさに魅了された)が、ず~っと続き、「さすが白馬!」の感。 これで最後の休憩となるだろうと休んだのが13:15。 14:05、猿倉着。 腹ごしらえをしてから出発。 多治見に20:00頃着。 |