岩・温泉・花の 北アルプス縦走 

  3日目 雷鳥沢ヒュッテ〜雄山〜剣沢小屋
  4日目 剣沢小屋〜剣岳往復〜剣沢〜真砂沢ヒュッテ

3日目 7月25日(火)

ガスが出ると先が見えなくてドキドキ

雨、6:40発。地獄谷から行ったほうがアップダウンが無いので楽だろうと
見当を付け川沿いに進む。
歩道から外れないように、蒸気を吸わないように」の看板を見ながら、黄色の
硫黄ができている所を見ながら、温泉がどーどーと川に流れ込んでいる所を
見ながら、分岐から登りに入る。

急な階段。登りきった所が「みくりが池」。まだ、雪でいっぱい
同行者はここから下山。私は前進バスターミナル前もほとんどが雪の下

一の越山荘を目指して進む。
時々突風が吹いてくる。体がふらつくのをぐっとこらえる。
山荘に、8:10。どうしようかいろいろ考えたが予定通り立山を目指す。
雄山だけで帰ってもいいか・・・も考える。

右からの風にふらつかないように気をつけて登る。
後ろからほら貝の音。真っ白い修験者の格好をした若者が追い抜いていく。
急な岩ゴロゴロの道を登っていくと稜線に立派な建物。えっ??、あそこで
宿泊ができたらいいなあ・・・と思ったら何のことはない、社務所だった。9:25着。

外はビュービュー、中はストーブを焚いているらしい。暖気が戸を開ける度に出てくる。

さあ、どうしよう。あの嫌な岩場を下るくらいなら前進したほうが良い・・・
と決心し、前進。9:35発。

ガスのため全然高度感がなく、鈴鹿の山を歩いているような感じ。
風も3000mにしてはいい方・・・などと考えながら前進する。

暖かいお汁粉」の文字に釣られて休憩所に入ろうとしたが、ここで入ったら
決意が鈍りそうだから止めて歩き続ける。

富士の折立で休憩しているパーティーを横目に見て通り過ぎ、
内蔵助山荘の看板に心が動いたが、ひたすら剣沢小屋を目指す

ここまでに見つけた花
イワツメクサ・ミヤマダイコンソウなど

真砂岳は平らな所にあり、ただの通過点。
別山への登り道は「残雪期危険」の看板。で、下の道を通る。

別山の分岐点から、剣沢の小屋へ降りる道があるはず・・・と思い、少し進んで
みるが登山道が荒れていて不安定。???。

おかしいな。
晴れていれば一目瞭然なのに
ガスのため先が見えないのでとても不安。
まして、単独なので不安が二乗になってくる。

剣御前小屋から、剣沢に下りることにする。すぐ、立派な剣御前小屋。
それを横目に見て、剣沢の矢印に誘われて下りていく。

こんなに下りてしまって大丈夫なのか、剣沢雪渓を既に下り始めているのではないかと
不安に駆られるほどガスのため何も見えない

  
   剣沢のテント場

やっとテント場と小屋が見えた。雪渓の中の小屋である。13:00着。

乾燥室は2台のストーブが燃え盛り、濡れたものを全て乾かすことができる。
ぐんぐん乾いてさっぱり。靴だけはいくら新聞紙を入れてもすっきりとは
乾かなかった。

昼食を食べ、うとうと寝ていると眩しい陽の光と青空!!。素晴らしい眺め!!。
劔が目の前に迫っている。

  
     剣へ行くルートが見える

シャワーを使える時間になったので汗を流してから、テラスへ出て、山座同定をしたり、
カメラのシャッターを押したりしてのんびり過ごす。

乗越に剣御前小屋がばっちり見えている。
晴れていたら
あんなにも不安に駆られず下りて来られたものを・・・と感慨深い。

  
   剣御前小屋が見える

夕食は熱々を・・・ということで揚げたてが配られた。
ただし冷凍物であるが。

4日目 7月26日(水)

剣より剣沢のほうが不安・・・

荷物を2/3くらい小屋の談話室に置かせてもらって、6:00発。

まずは昨日見ておいた剣山荘へ向かう。
まず、雪渓を渡ってテント場へ。
少し下ってまた雪渓を渡った所から少し先が剣山荘。6:25着。

  
    剣山荘から登りになる

ここからの登りは昨日何度も見ておいた。
雪渓は踏み跡もしっかりしていてアイゼンは必要なしと聞いている。

  
    奥が剣岳  手前が前剣

前剣まではどこでも通れるという岩場であちこちに踏み跡が錯綜している。
ペンキもなく勘で選ぶより仕方ない。

ルンゼの中は手がかりの岩もあり難なく通過。

  
    剣を目指す

登りは右側へ進むようにペンキ印があるのでそれに導かれて前剣へ。7:40着。

鎖に導かれて登りのコースへ進む。

今日は人出は少なく待ち時間もないし、後ろからの人に焦ることもなく
マイペースで歩ける
のが嬉しい。

鎖に導かれて下り鞍部に着
たらたら道をたどってまた鎖場へ。それほどの傾斜ではない。

どれも登りは右側を通るようになっていて混雑緩和の方法がとられている。

さあ、これからが核心部の「カニのタテバイ」。

目の前に長くて太いねじ込み式の釘。これがまず第1歩。

どうやってそこまで足を伸ばそうか?と考えてしまうほど高い所にある

仕方なく鎖につかまってえいっと体を持ち上げる。
後はペンキと鎖に導かれて無心に岩を登ることだけを考える。

足場・手がかりは落ち着いて探せばちゃんとあって
それでも心配な時は鎖に頼る。

登りきってしまえば、少したらたらと進んで頂上着、9:05。

  
  
    剣岳山頂で

たくさんの人!!。天候はいうことなし
日差しが強くなってサングラスが手放せない。

山座同定を楽しむ。直ぐ分かるのは双子峰の鹿島槍。その左が五竜
その向こうが白馬も頭だけ出している。

  
  
  

  
    剣の頂上からのパノラマ

剣沢のカールとこれから下る真砂沢ヒュッテの青い屋根も見える。
剣沢の斜度が気にかかるがここからは分からない。

さて、下山。人が少ない頃を見計らって出発。
カニノヨコバイ」はさほどのことはなく、下りのペンキ印をたどっていく。

長い梯子を下って避難小屋跡へ。下りは前剣の頂上を踏まずに合流点へ。

剣沢小屋手前の雪渓は溶けてシャーベット状。小屋に12:00着。
昼食用のお弁当と味噌汁をおなかに入れて12:50発。

剣沢の雪渓へどう下りるかが問題。夏道のトレールをたどって旧剣沢小屋方面へ。
小屋の手前から道がなくなったので少し戻って雪渓を下ることにする。
アイゼンをつけて出発。

結局、この斜度が一番急だった。
本流に合流する前にいったん脱いで夏道を歩き、本流に入ってまた装着

  
    剣沢雪渓から望む剣  
     黒く汚れて枝などたくさん落ちていた

傾斜はそれほどでもないが、落石があちこちにあるので
雪渓上では休憩を取らない
ことにする。

それにしても何でこんなに黒く汚れているの?と思う。
支流の雪渓から下る1パーティーと登ってくる1パーティーに
出会っただけの静かでどきどきの下り

ガスが時々出てきたが、直ぐ晴れて不安がなかったことがよかった。

左右から雪渓に流れ込む滝の水、左斜面のニッコウキスゲの群落、
右斜面のサンカヨウの群落などを見ながら下る。
あのカーブを曲がったら小屋か?と何度も期待しながら下るが、なかなか見えない。

左側に夏道が見えたのでアイゼンを外して歩いたが歩きにくい道だった。
こんなことならあのまま雪渓を下ったほうがよかったか・・・
ま、シラネアオイの群生に出会えたからいいか・・・

  
   真砂沢ヒュッテが見えた  最後までアイゼンをつけていた

やっと小屋が見えた
小屋の前までアイゼンで、14:35着。
受付と入り口は別になっている。テントは5〜6張。小屋の先客は4人。
3室あり。トイレは使用後バケツで流す。
水は飲用ではないが蛇口から流れている。

着替えて小屋の前のテラスでビール。ジリジリと暑い。
小屋のお兄さんは食事用の山菜取り。

4:00からの天気図がやっと書ける。
台風はまだのろのろとして影響なし
低気圧も近くになし。

若者1人で食事を作っているにもかかわらず、おいしくて品数もある。山菜の天ぷらつき。
お客は9人に増え、3人ずつの相部屋となった。今日のうちにお茶とお湯を沸かしておく。

夜、頭の所からすーすーと隙間風。180度回転して寝る。

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