南の次は、北へ
   
 北アルプス縦走(新穂高温泉~扇沢)
          双六岳~三俣蓮華岳~鷲羽岳~水晶岳~野口五郎岳~
           烏帽子岳~南沢岳~不動岳~船窪岳~七倉岳~蓮華岳


 6日目 8月10日(水)  
   
    【烏帽子小屋→南沢岳→不動岳→船窪岳→船窪小屋へ】

J烏帽子小屋5:20発・・・南沢岳7:10・・・不動岳9:30・・・船窪岳第2ピーク13:25・・・船窪岳15:20・・・船窪乗越15:40
・・・パイプ階段16:45・・・蓮華岳分岐17:05・・・船窪小屋17:15着(泊)
 


1日目 8/5  自宅~新穂高温泉~わさび平小屋  2日目 8/6 わさび平小屋~双六小屋
3日目 8/7 双六小屋~三俣山荘 4日目 8/8 三俣山荘~野口五郎小屋
5日目 8/9 野口五郎小屋~烏帽子小屋 6日目 8/10 烏帽子小屋~船窪小屋
7日目 8/11 船窪小屋~針ノ木小屋  8日目 8/12 針ノ木小屋~扇沢~自宅


4:45   快晴!  夜中の星もたくさんあった




 
5:00  朝食を食べていると、「山が赤い!」という声が聞こえてきた

赤いのは今だけ・・・と思って、カメラを持って外へ飛び出した

中央左が赤牛岳   そこからずう~っと右へ行くと薬師岳




 
 5:20  出発のころには、普通の山になっていた ↑


5:22  出発




 
 5:37   稜線に出ると、右手は雲海!!




   
烏帽子岳  くっきりはっきり




烏帽子岳分岐  5:50


分岐からは草むらの道になった

岩を乗り越えたり、大きな段差を下りたり・・・
障害物が多い

紫は、トリカブトの仲間
白は、セリ科の花




 烏帽子小屋の受付前には、
「四十八池」巡りのハイキングがお勧めしてあったが
これらの池のことらしい


大小・形も様々な池がなるほどたくさんあった




オヤマリンドウ:リンドウ科




振り返ると、烏帽子が見えた

向こう側からは尖がった山だったが
こちら側から見ると、もっこりした形だった

その左は、「ニセ烏帽子」




 あのピークが南沢岳かな?・・・と期待していた

白いザレ場には、コマクサが点々と咲いていた




コマクサ:ケシ科

 
 セリ科




 稜線に出てみると、
先程まで期待していたピークは
南沢岳の山頂ではなかった





ここをクリックすると大きく見えます
 後ろを振り返ると、
遠くに三ツ岳から烏帽子小屋へ続く稜線が見える

そして、形の変わった烏帽子岳と池も




 白ザレの奥が、南沢岳らしい
コマクサ:ケシ科

小さな粒の花崗岩は、まるで雪の上を歩いているような感触

登りはまだいいのだが、下りはずりずり~ずりずり~と滑りながら歩くので
登山靴の中に小石が入ってしまい、靴を脱いで石を出すはめとなった

ロープも何もない場所に、コマクサがたくさん!  やや薄めの色が多い




 標識はないが、ここが多分、「南沢岳」  三角点があった

ぐるり360度の展望




 地図を見ると、ずっと尾根道歩き  右側は切り立った崖

南沢乗越まで下り、また登ることになる




   
ずっと下に白い砂が堆積したダムが見えた

この足元の白い花崗岩の粒が、流れ流れてあの堆積物になるんだ・・・




 ハクサンフウロ:フウロソウ科




 サンカヨウ:メギ科

   
 崖っぷちを歩く箇所もあるが・・・




 樹林の中へ退避する箇所もある

 ミヤマリンドウ:リンドウ科

天気がいいので、ぱっと開いている




エゾノヨツバムグラ:アカネ科

『葉が4枚輪生し、葉の幅が広いのが特徴』




 後ろを振り返ると、くるっと丸い烏帽子岳と、そこから続く南沢岳の稜線が見える




 
「槍」がまた、右手に見えるようになった




不動岳  9:30

この手前で男性1人、この山頂で女性1人と出会った

「今日初めて人に会った!」と言われた   私も、「初めて」・・・と答えた




 
 これから進んでいく方向   ガレがひどい

中央奥の右が、多分「蓮華岳」   その左が、多分「針ノ木岳」

手前のガレ場すれすれの稜線に登山道があるらしい




   
 コケモモ:ツツジ科




 クロウスゴ:ツツジ科

よく実がついている




 カニコウモリ:キク科

ここへ来て初めて、この花に出会った




 コフタバラン:ラン科

昨年の南アルプス・光岳付近でたくさん花が咲いていたが、このコースでは少ない

花は終わり、実になっていた




 ゴゼンタチバナ:ミズキ科




 タカネナデシコ:ナデシコ科

 
不動岳を過ぎてから、どんどん樹林の中を下る

いつまで下ればいいのよお~・・・と文句が言いたくなるほど

登りにならないと船窪岳に近づかない   右の方へ回り込んで行くらしい




   
 ミヤマママコナ:ハマウツボ科




 シナノナデシコ:ナデシコ科

この辺りだけに咲いていた




11:10  樹林の中の下りに飽きてきたので
お弁当タイムにした

おにぎり2つに、スープ2種をお湯で溶かして飲んだ

この間に男性1人に追い越された

どうやら今日は、烏帽子からの縦走は2人だけだったよう




 この白い金属板、何か意味があるのか?と思ったが
標識らしい文字は無し




 タテヤマウツボグサ:シソ科

 このワイヤーは、大した危険個所ではなかった




 大きな白ザレの段差を登る方が、
ロープも鎖もなく、大変だった




 ヤグルマソウ・キク:科




 コケモモ:ツツジ科




   
タカネマツムシソウ:マツムシソウ科




   
 あれが、「船窪第2ピーク」だろうか? コフタバラン:ラン科




   
イワナシ:ツツジ科

まさか今頃まで実があるはずがないと思っていたが、
葉の下にちらっと実が見えた時は嬉しかった!

さっそく口に入れると、まさに「梨」の味

でも、梨の味だけ味わったら、すぐさまぺっぺっ・・・と吐き出さなければならない
口の中がざらつくから




   
岩を乗り越える場所も何度も出てくる




 アカモノ:ツツジ科




   
 
 シュロソウ:ユリ科

下  実ができ始めていた




   
 タテヤマウツボグサ:シソ科




 船窪岳第2ピーク  13:25

登って降りて、登って降りての連続で、疲れる・・・

ここからまた、鞍部まで下る

梯子やワイヤーがあると聞いていたが、
どんな所だろう・・・?




 
 ダムが見える




   
 ツルリンドウ:リンドウ科

もう秋の花・・・




   
 白ザレの斜面に、だる~んとたるんだロープが1本

足が置けるしっかりした凹みは無し

どうやって渡るのだろうか??

ロープに体重をかけない、
バランスを保つためだけ・・・と考え、
左手でロープをたぐりながら、無事通過




オオヒョウタンボク:スイカズラ科




 
   
 サラシナショウマ:キンポウゲ科




アカモノ:ツツジ科



 
  
 右が、多分「蓮華岳」   左が、多分「針の木岳




   
 今度は、白ザレの急坂に、どろ~んとたるんだロープが1本

ロ―プがなければずりずり落っこちそう

右手でロープをたぐりながら、
左手はストックを使って降りたが、
登りは楽勝・下りは大変・・・といった場所だった




 ロープを下り切ったところが鞍部かと思ったら、
まだまだ先は長かった
   
 ベニヒカゲ

『亜高山帯から高山にかけての草地』・・・にいるって




 トモエシオガマ:ゴマノハグサ科

花がスクリューのようにねじれている




   
 マイヅルソウ:キジカクシ科




アカモノ:ツツジ科

赤い実のてっぺんが、
サクラの模様になっているのが可愛くて・・・




   
 コゴメグサの仲間:ハマウツボ科




梯子が見えた!

ここが鞍部らしい




   
 ミヤマホツツジ:ツツジ科

実が生っていた




あれえ~、また、梯子があった



 
   
今度は両側が切り立った白ザレの鞍部

だら~んと垂れた緑色のロープが1本あるのみ

左手でロープをたぐりながらバランスを保って、渡り切った




   
 また梯子・・・上部でカクっと曲がっている二段式




 船窪岳山頂に着  15:20




   
 船窪岳から船窪乗越にかけて
崩壊が激しい・・・と聞いていたが、
ここのことだろうか・・・




クロツリバナ:ニシキギ科



 
   
 カニコウモリ:キク科




 ひたすらどんどん下って船窪乗越へ   15:40

船窪小屋まであと1時間!!

17時には着けるだろうと思ったのだが・・・
ここからまた、登りに次ぐ登りが始まり、ぐったり




   
ハナイカリ:リンドウ科

このあたりだけに咲いていた




   
 
 シャクジョウソウ:ツツジ科(イチヤクソウ科)

このあたりだけしか無かった




   
 トリカブトの仲間:キンポウゲ科




ハクサンオミナエシ:オミナエシ科

別名コキンレイカ




  
明日登る、蓮華岳




   
 ホタルサイコ:セリ科

種になっていた




ナナカマドの仲間:バラ科

あの稜線が、蓮華岳から続くのなら
船窪小屋は、もっと先の先




   
 16:45

「船窪小屋まであと20分」の標識を見て
励まされたが、
まずこの急なパイプ階段をクリアしなくては・・・

そのあとも、登りが続いた

このあたりにテント場が散らばっていた




 蓮華岳への分岐  17:05

まだ小屋は見えない・・・

  
 小屋が見えた!  17:08   「槍」もきれいに見える!




 
稜線の左は、雲海!




 
 小屋の入口で、こちらを見ている人がいる

あまりに遅いので、心配をかけてしまった

常駐のパトロール員の男性からも「午後3時までには小屋に着くようにしないと」・・・と、お小言

「はい、分かっていますが、スピードが出なくて・・・」と、答える

小屋の女性が、お茶を持ってきてくださった

「本当はビールがいいんですが」・・・というと、「まずはお茶を飲んでから」・・・と

そうそう、暑さで胃が弱っている時に、ビールを飲むと余計胃が壊れてしまうんだった・・・

有り難くお茶を一杯飲んでいると、わざわざ缶ビールを持ってきてくださって
宿泊手続きのノートやスリッパまで持ってきてくださった

ちょうど、夕食が始まったばかりとのことで、ゆっくり外のベンチに座ってビールを飲んでいると、
常駐のパトロール員の男性から
「何時に出発したの?」  「5時20分です」 「4時に出たら?」  「4時では暗いので歩けません」
「お弁当を朝食べて早く出発したら」  「それでは、力が出ません」・・・なんて
押し問答をしていた

これが晴天の日だからよかったものの、
昨日のようなガスや強風だったら、もっと条件が悪くなっただろう

そうなれば、ブナ立尾根から下山していた・・・

夕食は遅れて着いた私ともう1人の男性と2人
それにプラス、小屋のスタッフやボランティアの人達と一緒だった

メインは、天ぷら(山菜らしかったので、翌朝小屋のスタッフの人に聞いてみたら、
アザミ・トウヒレン・ウイキョウ・・・とのことだった)

差し入れの漬物も頂き、恐縮しながらおいしくいただいた

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

更衣室なし・乾燥室なし・ランプ(夜中のトイレやDVD鑑賞などは、ソーラーで)

水は、急な坂を下りた所から人力で担ぎ上げたもの  500cc100円

オーナーの松澤夫妻と、若い女性の小屋番さん2名が切り盛り

夕食後のお茶会は、参加自由
ネパール茶をいただきながら、DVDを鑑賞
(この日は、オーナーの松澤寿子さんが今から3年前、喜寿の記念に縦走した話と
登山道の整備の内容だった

その後、「1人一言」ずつの自己紹介のあと、
オーナーの松澤宗洋さんから黒部ダム建設のころの思い出話を聞き、
松澤寿子さんの『シーズン中はここに張り付いています』という話を聞き、
若い小屋番さんの話を聞いてお開き

・・・・・・・・・

1994年7月に、女性4名で、扇沢~種池山荘経由の3泊4日の3泊目でこの小屋に泊まったことがある

その時の記録を読むと、『ふわふわ布団にシーツ付き・ホテル何とかの別館と聞いて納得』・・・とある

ぺちゃんこ布団が当たり前の小屋泊で、ふわふわ布団に驚いていたことが分かる

また、暇を持て余して水場まで水を汲みに行ったとも書いてある

『ザックの中に4人全部の水筒を入れ、水汲み用の穴あきカップを貸してもらって
2カ所のザイルのお世話になって水を汲んだ』

『水場自体、上から落石がありそうな不安定な場所  これなら1リットル200円も止む無し・・・とある

・・・・・・・・・・・・・

最近、多くの山小屋で、羽毛布団を使う所が多くなっているので、
今回、ふわふわ布団の感激はなかった・・・




 
18:50

外へ出てみると、「槍」方面からやって来た雲海が、峠を越えて流れていく幻想的な光景に出会った

・・・・・・・

北アルプスから帰ってから、撮り溜めておいたWOWOWの録画を見ていたら
この光景を思い出す映画に出会った

「アクトレス」 2014年 フランス・スイス・ドイツ合作  主演:ジュリエット・ビノシュ

この映画の中に、“マローヤのヘビ”という言葉があった
何だろう???と思いながら観ていると、
『スイスのマローヤ峠を、ヘビが這うようにうねりゆく雲があり、この奇妙で美しい気象現象にこのような名前がつけられた』とか

この雲海も、ゆっくり峠を越えていったので、なるほどね!・・・と思いだしたというわけ

それに、この映画の原題は「シルス・マリア」
どこかで聞いた名前・・・と思ったら、2005年に山友達と2人で行ったスイスアルプスの小さな町の名前だった




 
 
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